入隊希望者ー弐
ずりぃって、何が?
全く意味がわからない言葉を投げかけられた私
でも、よっちゃんは答えてくれない。とてつもなく理不尽。
「入隊希望者は、どうなんだ?」
話し変えたし…。
「んー、興味本意って感じが多いかな。
噂がどうのとか言ってたけど?」
なんなんだろうね?噂って。
「聞いたのか?」
突然、怒鳴って、私の肩を掴むよっちゃんに、冷静さは無い。
困った。どうしよう?
何も考えてなかった。
まさかこんなに、飛びついてくるとは思ってなかった。
「聞いてないよ。」
ホッとしたのか、よっちゃんが離れる。
噂は、聞いてない。コレは、本当。
よっちゃんが
私を壬生浪士組から離そうとしてる事は、知っている。
「どうしたの?よっちゃん。」変なのーと笑う。
いつもみたいに
私はもう決めてるから。此処に残る為なら、なんでもすると…
私は私だ。誠の武士。
私が思い浮かぶ誠の武士は
1人の命だけ救うんじゃない、
その人の、仲間、友達、家族、 そして、その人から生まれる新たなる命。全てが大切。
一つの命から沢山の連鎖がはじまる。
だから、命は重い。この時代、沢山の命が散る。
人は死に向かって歩む。
だけど、大切なのは中身であり、死に様じゃない。
見事な死など、私は無いと思う死者を讃えなどしない。
皆以上に、生きた私。
この命、無駄につかってたまるかっ!
全て守りたいけど、それは無理だ。そんな事は、わかってる。守れなくても、私は、足掻き続けるって、決めたっ!
私は、知ってるはずだ。志し半ばで散った命を
沢山の惨劇を……。そして、修羅場を沢山乗り越え
私はまた、江戸時代に戻ってきたんだ
私がやるべき事は、よっちゃんの説得でも
皆を信用させることじゃない。
例え一人になろうとも、守ってみせるっ!
時代を変える。そうじゃない。
今から、この幕末から作り上げるんだ。
私達の世界は、未来は、私達が切り開くっ!




