捕らわれた男side
雇われた男side
暗殺しようとしたら
殺すべき人物はいなくて、
一心不乱に刀を振って怪我させた相手が
今、自分達の前に立って、
自分達に向かって生きろという。
怪我を早く治せという。
意味がわからない。
何故、笑っている?
仲間の一人が突然地面に倒れた。
縄で縛られた俺たちには何も出来ない。
でも
桜色の髪
そいつがテキパキと治療をしだすと、
周りに人が集まる。
何か自分に出来ることは無いか?と…
なんなんだ?
壬生浪士組は、恐ろしい組だって、
そう聞いていた。
なのに目の前の光景はなんなんだ?
「傷、痛む?」
いつの間にか俺の前に居た、桜色の髪の小僧。
ってか、女みたいだよな?こいつ…
傷、見るよと包帯を取る。
傷を見てるんだろうけど、
俺の目は奴のクビの傷を見ていた。
巻かれた包帯が赤く染まっているのを見て驚いた。
時折、ハァハァと呼吸を正そうとする姿…
こいつの方が苦しいんじゃないか?
と心配してる自分がいた。
傷を手当てしてくれる奴を見て
口が勝手に開いた。
「……お前は…何の為に生きて居る?」
何故、こんな事を聞いたのかわからない。
ただ、知りたかったのかもしれない。
俺たちを生かそうとする奴の事を、
「壬生浪士組の為に。」
そう言って笑った。桜色の小僧。
壬生浪士組の為に、
俺は、何かの為に生きたことなんかない。
羨ましいと思った。
何かの為に生きるという事が…
……他の奴らは知らねぇが、俺は
此奴になら
雇われてもいいと…
そう、思ったんだ。




