充電
「てめぇらっ!
とっとと出てけっ!!」
出てけとはいわれても
足が縫いついてしまったかの様に動けない。
先ほどまで、胸ばかりを見ていた幹部たちだったが
千夜の身体に刻まれた傷は
酷いものだったから…
「晒し変えるの?」
山崎の手にしていた晒しを見てそう言った千夜に
上の空で
「あぁ。」
せや。晒し交換しに来たんやった。
と、思い出し、
みんなに出て行ってもらわんと。
そう考えてた山崎をよそに
幹部が居るのにもかかわらず、
バサっと豪快に上半身寝巻を脱ぐ千夜
ブーっと鼻血を吹き出した男達
「ちぃ?ちょっとは隠せ?」
あまりの豪快さに流石に戸惑う。
「そう言えば寒いかも…」
って返事が返ってきた。
そうじゃないんだが…
どこまで娘らしくないんだ!
「少しは恥らえっ!」
なにが?って顔で見てくる千夜に
溜息しか出てこなかった。
どんどん巻かれる晒し
ちぃちゃんのくびれた腰に視線がいく。
細い線…
流石に上半身脱いだ時は
ビックリして、胸をガン見してしまった。
鼻血まで出して
晒しが巻き終わると
ちぃちゃんは座りながら着替えをしだすしまつ…
目のやり場に困る。
チラチラ見える白く細い足。
ちょっと得した気分になると、注意することが出来ない幹部たち…
ただ、脱いだ襦袢には、赤い染みが無数に残り
それを見ては、奥歯を噛み締めた。
サラサラ揺れる黒髪。
「ちぃちゃん?どうしたの?」
「へ?
ああ、よっちゃんの髪綺麗だなって。」
お茶を飲んでた土方がむせた。
「ちぃちゃん?
まさか土方さんの事好きになっちゃったんじゃ……?」
「好きだよ?」
聞きたくないと言わん限りに総司か耳を塞ぐ。
「じゃあ俺は?」
「好きだよ?」
「沖田さんは?」
「なんなの?好きだってば!」
「へ?
何?山崎君どういうこと?」
状況がイマイチ掴めてない沖田。
「せやから、
ちぃの好きはみんな同じ言う事や。」
いや、茶を啜りながら話すなよ!
何?
なんかすごい今哀れみの目が向けられてる気がするんだけど?
「す、、よっちゃん充電したい。」
「なんでや?今、烝。言おうとしたやろ?」
そんな声がしたが、
スルーしてよっちゃんの心臓の音を聞いた起きてから1番安心した瞬間だった。
「…充電?」
そう言いながらも、
千夜にさせたい様にする土方
「ああ、土方さんは知らないのか。
ちぃちゃんに元気を分けるって感じかな。」
「まぁ合ってるけど、ちょっとちゃうな。
ちぃはな、生きてるのを確かめとんねん。
心臓の音、声、温もり、抱きしめる力
全部生きてるうちしか、感じる事出来へん。死んだら感じられんもんや。」
「へー。」
「へー。」
「土方さんに話とんや
なんで沖田さんと藤堂さんが返事すんねん。」
「言ってくれれば
いつでも充電させてあげるのに~。」
「ん。今は、よっちゃんの聞いてるの。」
「ちぇー。」っと沖田のいじけた声
帰ってきたんだって
よっちゃんの心音聴きながら思ってたのに、
「千夜、起きてるのか?」
芹沢の声がして、襖が開き、
バタバタ慌てる幹部隊士たちの姿に溜息を落とした。
芹沢が私を見て、ため息をついた。
「また、土方か。」
「芹沢さん、コレは……。」
何やら抱きついていた言い訳を考えているらしい
よっちゃん。
邪魔が入って機嫌の悪い千夜の背後には
どす黒いオーラが見える。
「芹沢局長が自らおいでとは
なんのご用件で?」
立ち上がりながら言う千夜
「気持ち悪いから止めよ。クソガキ。」
「あーあ。
人がせっかく感激してあげたのにね?…クソジジイ。」
土方は盛大にため息をついた。
「土方さん、いいんですか?
ちぃちゃんが別人と化してますが…」
「マズイんちゃうか?
局長に、クソジジイは!」
俺もそう思うが…、
「フン。怪我人の癖に言いよるわ。
殿内の詮議は今日だ。」
「わざわざ、どーも。」
フンッと鼻を鳴らす芹沢
「ところで千夜、ワシの妾にーー
「ならないから!」
ハァハァ……
くそ!首と腹が痛い。
「芹沢、悪い。
お前と遊んでやれない。」
「だれが遊んでと言った?
大人しく寝ておれ!たわけ!」
「たわけで結構。
少し寝たら行くよ。」
「千夜、体を休めよ。
夕刻まで出掛けるからな
また来る。」
急に優しくしないでよ。
今年中にお前は死ぬ。確実に…
助けてやれない私に
優しくなんてするな。芹沢…




