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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
殿内
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白黒世界…弐

 

黒と白の世界、四歳の私が作り上げた、

モノクロ世界。


彼女には、世界は、こう見える。


本当は、違うってわかっているのに……。


なんだか、寂しい。これが私が取り残した結果。


術をかけられてから、

ずっと、この姿のまま、生き続けたんだ。


誰にも知られることなく、一人きりで、

私の力なんて知らない。そんなの、どうでもいいよ。

ここから助け出す方法はないの?


四歳の私を助け出す方法。彼女を抱きしめながら思う


フワッと浮かぶ光が見えた気がした。


見間違い?


みんな、

ごめんね、私、まだ帰れない。


この子を助け出す事が出来るのは、

きっと、私しか居ないから。



*****


芹沢が広間に入ってきて


山崎は

”やらなければならない仕事が出来たので”


と部屋を後にした。


出来たのでって事は、

上で見ているって事だなと一人で納得した。


暫しの沈黙……。

口を開いたのは芹沢さんだった。


「千夜を傷付けたのは、殿内みたいだな。」


詫びなのか、引き渡しなのか、

俺の中で、答えは二択しか無かった。


「殿内だがな、身柄は千夜に一任する。」


まさかの答えに目を見開いた。


「千夜は、まだ命の危険がある。

千夜が死んだらーー

「黙れ土方。

お前、自分の小性が隊士共にどういう扱いを受けているのか知っておるのか!」


あまりの迫力に、言葉が続かなかった。


ちぃの扱い?自然と、

ちぃの頬に目が行くのは仕方ないだろう。


アレを仕向けたのは、自分。

芹沢は、知っているのか?


「千夜が死んだら、その時はその時で考えるわ。

だがな、近藤、お前の好きにはさせん。」


近藤さんの肩がビクッとなった。


「何を仰います芹沢さん。」

猫撫で声の近藤。

誰がどう見ても不自然。


「ワシが何も知らんと思っているのか

沖田と良からぬ事を企んでいると、ちゃんと耳に入っておる。言いたい事は、それだけだ。」


そっと、千夜に近づいた芹沢は千夜の手を取る

自分の手首に千夜の手を置いた芹沢を見て

こいつは、ちぃを知ってると小さな敗北感が俺を襲う…。


芹沢はやる事やって出て行きやがった。


芹沢の後を追って行った近藤さん。


一気に緊張の糸が切れた様になる広間の中


「まさか、芹沢が知っとるなんてな。」


屋根裏から現れた山崎。


「なんか僕、何もやってないのに疲れましたよ~。」


気が抜けた声が聞こえる。


「良からぬ事ってなんなんだ?」


新八の問い。

あぁ、こいつは知らなかったんだったと

納得し、「さあ?わからねぇ。」と、嘘をつく。


に、しても、

芹沢が殿内暗殺をハッキリ言わなかったのは助かった。


とは、思うものの芹沢が千夜を知ってる事実は

どうしても俺の中でうまくのみ込め無かった。




******


白と黒の世界で、

私はまだ幼い日の私を抱きしめていた。


ただ一つ、気になることがあった。


手を伸ばせば光は飛んでくるのに、

小さな千夜の前には、光は来ない。


私の周りに集まる拳程の光。

私はこれが隊士たちの魂だと思ってるもの。


何故彼女は、今になって、私の前に現れたのか?

死にそうになった事なんて何度もあった。


だけど、小さな千夜と会うのは初めて…。




ーー初めて願う。



生きさせて。と…。



貴女は弱くなる。そう言った彼女。


もし、それが理由なら、彼女の目的は、


「ーー!私の命。」



(当たり。私は貴女を殺す為だけに、この世界に送り込んだ。絶望させず、魂を取り込ませない様に。

あいつらは、生きているのに

この魂は、消えない。しぶといよね。本当。)


そう言って、私から離れた、小さな千夜。


彼女に手を伸ばそうとしたら、黒い塊りが行く手を阻む。そして、その黒い塊りがヤイバとなり千夜を襲おうとする。


次の瞬間、眩しい光が千夜を覆う。

まるで、彼女を守るかの様に、

彼らの意思が私をまだ、必要としてくれている。


浅葱色の羽織りに、千夜は手を伸ばした。


そして、彼女は意識を飛ばした。

温かい懐かしい彼らの腕の中で…



(ちっ!何処までも邪魔をする。

必ず、千夜を、殺さなきゃいけないの。私は!)



それが彼女の望みだから…


































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