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浅葱色を求めて…  作者: 結月澪
戻って来た幕末
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光と記憶

「ちぃちゃん?」


「何で?」


「僕、何で忘れてたんだろう!

ちぃちゃん、多摩で一緒に過ごしたのに……」


「どういう事?」


何が、どうなってるのか、わからない。

総ちゃんが、私の話してない事を話してる。

みんな私を知らなかったのに、

何故、急に私を思い出したの?


「ちぃちゃん?大丈夫?」


覗き込む沖田の顔は、心配そうな表情で

さっきまで、自分に刀を向けていた。とは、

思えない様な変わり様…


「大丈夫。」


どう接していいかわからない。

私の記憶のある総ちゃん、嬉しい筈なのに本当に総ちゃんなの?疑う私がいる……


「総ちゃん、私の持病は知ってる?」


もし、コレが演技なら、知る筈のない事を聞いてみる。


「ん?喘息でしょ?」


笑顔で答えた沖田に


「ごめん……」


疑った事しか謝れない。

喘息を知ってたーー何がどうなってるの?

考えたところで、答えは見つからない。


「寝よう?ちぃちゃん。まだ、起きるのには早すぎる。

それに、…傷痛むでしょ?」


差し出された手を私は、戸惑いながら彼の手を取った。

温かいその手に無意識に頬が緩む。

手を引かれ部屋に戻り、布団に横になった。



苦しそうに息をする彼女の額に固く絞った手拭いを置く。


過度な拷問により、身体は傷だらけ。

結果、熱が出てしまったのだ。


「すぐに戻ってくるから。」


聞いているのか、わからない彼女に

そう、言い残し、僕は、土方さんの部屋に急いだ。


スパーンッ

目的の部屋で、何時もの如く、襖を開け放った。


「土方さんーーーー

「総司っ!お前はいつもいつも、その部屋の入り方はやめやがれ」


怒鳴ってもヘラヘラ笑う女顔の沖田総司。


「土方さん、 多摩で一緒に居た女の子覚えてます」


「誰だ、それ……」


書類を書きながら答えた土方。

覚えてないか……


「いえ、土方さんの記憶力を試しただけです。」


「あ゛あ゛!で?用事があって此処に来たんだろ

俺は暇じゃないんだよ……」


「あー。あの子

熱出しちゃったみたいで。一応報告です。」


報告なんて後回しの沖田が、今日は珍しく、自分から報告に来たのを不審に思いながら

「後から見にいく。」そう口にする。


「で?なんかわかりました?」


「いいや。何にも出てこねぇ。山崎に調べさせたがな。

何か手がかりになる様な事を話さなかったか」


手がかりねぇー


「何も、あの子が喋ると思います」


思わねぇよ…。殴っても蹴っても、無駄だったんだ。

あの碧い目が、あの桜色した髪が……

思い出しただけで頭が痛くなる。


「よっちゃん…総ちゃん…平ちゃん。烝。」


ちぃちゃんは、たしかに拷問された時、そう言った。

バッと総司の方を見た土方


「どうしたんです?あの子土方さんを、

よっちゃんって呼んでたでしょ」


彼にも、掠れた声だったしても、聞こえてた筈だ。


『よっちゃん…』

俺は……知らねぇ…


「はぁ…頭が痛くなる……」


こたえになってません。総司がそう言うが…


「あいつの顔がたまに浮かんでくるんだよ

俺は知らない…のに……」


「本当に?本当に知らないですか?」


なんなんだよ……。

何で、こいつは喰らい付いてくる?


「なんだ?お前は知ってる様な口ぶりだなぁ。総司。」


「………知らないですけど。」



なんだ今の間は…。こいつは何か知ってる。















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