青い春の風
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「はい、はじめぇー!」先生が号令をかけると、生徒達はまるで調教でもされているかのように一斉にペンを動かし始める。
面倒くさい。そんな言葉は心にしまって、僕もテスト用紙のページをめくる。第一問目から難問だ。その時、一際強い風が教室を左の窓から、右の窓へと駆けていく。でも、みんなモルモットみたいに机に向かったまま、勉強を続ける。風が気持ちいという感情すら、お前らは失ってしまったのか?僕はそんなことを思いながら、全身で風を感じる。
あぁ、気持ちいい。
言葉が溢れる。ひらひらひら。僕の足元に紙が落ちた。僕は条件反射で、その紙を拾い上げた。そのまま僕が顔を上げると、斜め後ろの席の女の子が少し照れた顔でこちらを見ている。
「はい、どうぞ」僕は緊張が悟られないように、紙を渡した。彼女は僕に笑顔でお礼をする。彼女の笑顔で、僕はハッとした。これが、青い春なのか?清々しい気持ちで僕はテストに向かった。
先生の号令で、モルモット達は書くのをやめた。前の席の男子とプリントを交換し丸付けをする。テストの結果は、百点満点中、二十三点だった。これもまた、青い春。
作 館 ひつじ
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あなたの青い春はいつでしたか?