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鈴の音を聞きながらBサイド  作者: セオドア.有羽
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君が紡ぐ鈴の音を聞きながら4

二人と咲花の家族としての日々は穏やかに過ぎて行った。

刻が秋を連れていき冬を連れてくる。

このまま何事も無いまま続いて行く気がしていた12月、茉奈は不調を訴え少しの間病院に入院した。

医師は智樹にこのまま入院する事を勧めたが、茉奈がそれを拒んだ。

「いいの…このまま2年が1年になっても構わない。だって今は私が生きてきた中で一番意味のある一年だもの、少しでもともと咲花の側にいたいの。お願い」

そう言う茉奈を智樹は止める事は出来なかった。


なんとか体調も戻りクリスマス前には家族でまた過ごすようになった。

咲花が裕貴と出かけた日。

茉奈は少し話があると智樹にコーヒーを差し出しながら告げた。


「まな、話ってなんだい?」

「あのね。今更だけど謝っておこうと思って…」

「ん?何を?」

「最初、ともと知り合った時に会ってた人…」

「うん。」

「私達ね、不倫関係だったの…」

「うん。」

「だから、ともの話聞いてあーなんで私が好きになる人は手に入らない人ばっかりなんだろうって…」

「そうだったんだ」

「うん。だから凄くね気持ちが曖昧だったの…どっちに向かっても私は幸せになれないんじゃ無いかって。当時私は私の居場所が欲しかったんだ。私を愛してくれて私が好きになって。ああこの人が私の居場所だって人。それが無くてSNSでみんなに自分がいる事を認めて欲しくてなんかどうだろう、良い人を演じすぎてた。途中でわからなくなったんだ…恋を求めてる自分に優しくしてくれるのが嬉しいのか、本当に恋が欲しいのか。」

「そうだったんだね。なんか見ていて違和感はあった」

「ともと最後に話をして…凄くね。辛かった。マシロで傷ついたあなたを見て。凄くこんなにこの人を利用してたのかもしれ無いって…何度か連絡しようと思ったけど出来なかった。自分と関わったらまたこの人を傷つけるんじゃ無いかって…ごめんなさい」

「もういいよ。俺もあの頃は色んな嫌な事書いてたし。お互い様だよ。」

「咲花の父親と京都のね花火大会に行って、ひょっとしたらともと来てたのかもなって思って苦しかった。最後に会う機会があった日。その前に咲花の妊娠がわかって凄く悩んだよ。きっと会ってともが受け入れてくて。ともは優しいからお腹の子も受け入れるって言うんだろうなって…でもあんなに苦しんでるあなたを見てて行けなかった。この子が大きくなるにつれてあなたを苦しめるだけじゃ無いかって」

「茉奈、もういいよ。わかってたから俺はここに来たんだ。不安だったんだろ?自分がいなくなった後の咲花の事。」

「気づいてたんだ…うん。お願いとも…私がいなくなったら…」

茉奈は智樹の背中に抱きつきいている。智樹は静かに茉奈の手に自分の手を置いた。

「安心して、その時は俺が咲花の面倒は見るから。今はもう家族だから」

その言葉を聞いて茉奈はしばらくの間智樹の背中で泣きじゃくった。

「ともの背中、暖かくて好きだよ…」

「いくらでも貸すから安心して。」

「うん。今は私の大好きな人の背中。」

しばらくして落ち着くと、茉奈はコーヒーを一口飲んで、「ともと花火大会行きたかったなあ」と呟いた。

「良いね。来年は行こうか花火大会。」

「夏のだよ。夏の花火大会がいいの」

「うん。約束。二人で行こうお揃いの浴衣着て」


ただ茉奈にだけはわかっていた。また守れそうもない約束をしている事を。

段段と智樹への愛がますます深くなるにつれて智樹にまた辛い思いをさせてしまう事に心が傷んだ。

茉奈は気づいている。

もうすぐこの幸せな時間が終わりを告げる事を…

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