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鈴の音を聞きながらBサイド  作者: セオドア.有羽
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君が紡ぐ鈴の音を聞きながら3

「ふーん、そう言うのって、良い事なのか悪い事なのかわからないね」

少しふてくされた表情で言う麻美を見ながら咲花はヤキモチだろうなと思いながらそうですねと相槌をうった。

「だってさ、智樹さんは思い出すじゃない。色んなとこで茉奈さんを。不意に訪れた場所で茉奈さんを思い出して悲しくなるじゃない…」

咲花はそんな答えが返って来て少し意外だった。

「麻美さん、本当に藤代さんの事好きなんだね」

「そうね…じゃなきゃこんな辛い事が多い事に背中を押してないよ。」

「麻美さんも辛いね」

「や~ね。子供に心配されちゃった。ところで彼氏とは上手く言ってるの」

「まあ、なんとか…」

「うん?なんかあった?」


少し大人びた咲花にとって麻美は良き理解者だったから色んな事を相談しこうしてたまに会ってお茶をしながら話す時間は楽しいひとときだった。

「今度、二人が出かけた時に泊まりに来ても良いかって聞かれてて…」

「ふーん、じゃあいよいよなんだ?」

そう聞かれて咲花は耳まで真っ赤に染めあげた。

「あの…そのつもりでした。」

「でした?」

「なんか、喧嘩になっちゃて…」

「どうしたの?嫌なこと言われた?」

咲花はこの前、別の男性に告白された事を裕貴に告げた時に特別怒ることも無く「咲花はモテるからしょうがないな」と言われたのが気に食わなくて喧嘩になった事を麻美に告白した。

「なるほどね、ヤキモチ妬いて欲しかったんだ?」

咲花は静かに頷く。

「だってさ、なんか全然焦らないってそんなに好きじゃ無いのかなーって」

「どうだろうね、きっと彼はちゃんと信じてるんだよ。咲花ちゃんが他の人に振り向いたりしないって」

「そうなのかな…ちょっとそんな自信満々なのも嫌だな…」

「そうよね、たまには妬いて焦って欲しいよね」

「そうそう、なんで男ってあーなんだろ」

「まあ、前の旦那が凄いヤキモチやきだったんだけどさ、それよりはいいよ。もうほんとね途中でめんどくさいってなったもん」

「そうなんだ?」

「そうよ、もう隠れてSNSするのも大変だったんだから」

二人はそんな会話で大笑いした。


「あ…前に麻美さんが言ってた事最近わかりますよ」

「ん?なんだっけ?」

「お父さんとお母さん見てて…なんか藤代さんにママを取られた気分に少しだけなっちゃた…だってあんな嬉しそうに笑うお母さん見た事ないもん。」

「そっかぁ、咲花ちゃんが知ってるのは母親の茉奈さんだもんね。」

「そうなんですよねー」

「仕方ないよ、好きな人の前だとそうなっちゃうよ、女って。」

「わかるんですよ。嫌な気分じゃ無いんだけどなんか複雑…」

「そうね…でも見ててあげなさい。お母さんが一番綺麗な瞬間だから…」

「そうですね、お母さん、最近綺麗だと思う。お父さんが好きになったのもわかる気がする…」

「もう、そういうのは私には言わなくていいの笑」

「ごめんなさい笑」


麻美と別れた後に咲花は裕貴に一通のメールを送った

【ちゃんと言葉にして捕まえててくんないとどっか行っちゃっても知らないよ】


数分と経たないうちに裕貴の着信に気づく。

二人はお互いの気持ちを伝えあって仲直りをした。

そして二人だけの約束も…


帰り道、歩道橋で抱き合う智樹と茉奈を見かけた。

話しかけようとして二人の会話が聞こえてつい隠れてしまった。

咲花は二人の会話を聞きながらついもらい泣きしてしまった。


しばらくして、寄り添いながら歩く二人に追いつき咲花も2人歩調に合わせながら今度の旅行の話を聞いた。

「私も、お父さんが生まれたとこ行ってみたいな。」

初めて智樹の事をお父さんと呼んだのだが咲花は気づいていなかった

「え?咲花ちゃん?もう一回言って、もう一回」

「え?何が?」

「お父さんって…」

「あっ」咲花はそこで自分の言葉に気がついた「いいよ…お父さんの生まれたとこに私も…連れて行って」

智樹は恥ずかしそうに笑みを浮かべながら

「もちろん、もちろんだよ」

茉奈は笑いながら咲花の頭をヨシヨシしてくれる。

咲花はなんだかやっと家族に近づいたなと感じながら三人での帰り道を楽しんだ

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