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鈴の音を聞きながらBサイド  作者: セオドア.有羽
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あの日の約束と合言葉6

30分程で智樹は眼を覚ました。疲れ切った感じながらも表情は晴ればれとしている。

「ふぁ〜ごめん、つい眠ってしまったよ」

「良いのよ。疲れたんでしょうから。後でお風呂でも入って来たら?」

不意に智樹は自分の身体を臭った。

渋い顔を一瞬して

「そうだな、そうする…」


咲花はまるで長年連れ添った二人であるかの様な会ったばかりの二人を見ながら頭が少しだけ混乱していた。

「藤代さん、いつこっちに?」

「ああ、昨日の夜にね」

「そうよ、この人あんなに遅くに…」

そう言いながら茉奈は嬉しそうに微笑む。

「そうだ、茉奈大事な話があるんだ」

そう言って智樹がゴソゴソとカバンの中を探し始めた。

「ん?な~に?」

咲花はこんな表情の茉奈を初めて見たかも知れない。こんなに愛おしく男性をみる表情を。

智樹は紙を二枚取り出すと

「茉奈、出来るならば僕と家族になってくれないだろうか?」

「え?」「え?」

咲花と茉奈二人同時に驚いた声を出す。

「うちの会社に特別配偶者介護休暇というのもがあって。福祉の一環なんだけど…一年〜二年の休職が出来る。」

それを聞いて茉奈が真剣な顔になった。

「そんな事で、貴方の戸籍に傷を付けたくない…」

「もう…そんなことを気にする歳じゃないよ…こんなものが無くても君のそばにいたいんだ。この先君がどうなってしまおうと今まで共有出来なかった時間を君と過したい」

咲花はもう言葉を出すことができず二人を見守っている。

「とも…この先私はどうなるかわからないよ?動けなくなるかも知れないよ?死んじゃうんだよ?」

茉奈の目に大粒の涙が溜まっている。

「まな…僕は…僕らはやっと逢えた。君が僕に見せたかった景色を見てみたい。君に見せたかった景色を見せてあげたい。ずっとそばで寂しい思いをさせたくない。愛してる。この先は二人で歩いていこう。短くても構わないさ。君との時間は君との一秒は一年にも匹敵する。何故ならば…」

「私達は…とこしえの恋人だから」

そう茉奈が言うと智樹はその手を握った。

「そうさ、だから僕らの絆は永遠のものになる」

茉奈は顔をうつむかせて

「うん。良いわ…そうしましょう」

「ママ…」

咲花もつられてつい泣いてしまった。

「じゃあ、茉奈…無事に帰ってきて。待ってるから。」

「うん。きっと帰って来るね。とものところに…それと咲花のとこに…」

そう言って涙目で笑顔を広げ咲花を見つめた。

「うん、ママ待ってるから」

「じゃあ、俺はとりあえずお風呂と服を買いに言って来るか」

そう言って智樹はすっと立ち上がった。

「藤代さん、そばにいないの?」

智樹は咲花の頭を軽く撫でると

「大丈夫、茉奈は約束を守るよ。」

そして咲花の耳元に顔を寄せると

「家族二人で過ごしなさい」

そう言って病室を出ていった。


「咲花…私。彼のプロポーズ受けたけど良かったかしら…」

「良いんじゃない?ずっと私の為に頑張ってくれたんだもん。ママの為に使いなよ。ママは藤代さんと一緒で幸せ?」

「そうね。咲花…凄く幸せよ」

「なら良かった…ママが幸せなら私は大丈夫だよ」


しばらくして茉奈の手術が始まった。

手術の途中で新しい服に身を包んだ智樹が戻って来た。

智樹は咲花の隣にこしかえけるとその手を握り(大丈夫)と目で合図した。


長い時間が過ぎ、その扉は開かれた。

ここまで読んで頂いた方々ありがとうございます。

次回より最終章に入るためなかなか進まないかも知れませんが良かったら是非最後までお付き合いくださいね

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