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鈴の音を聞きながらBサイド  作者: セオドア.有羽
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あの日の約束と合言葉4

咲花はあれから麻美とよく連絡を取るようになっていた。

咲花からすれば麻美は大人の女性でいろいろ頼れてしまう。母親が倒れてから頼れる人が父方の祖母だけだったのもあり、つい愚痴を聞いてもらっていた。

麻美は聞き上手だ。いろいろ話を聞いてくれて、全てを肯定もしなければ否定もしない。

ただ自分の意見を言うところは言ってくる。お互いに甘い物好きなのも気があった。

いろいろ話てるうちに智樹がこの人を好きになる気持ちもわかる。

懐が大きいのだ。

【麻美さんってモテるでしょ?】

【何言ってるのモテナイよ。そんなに綺麗じゃないし】

【そんなこと無いです。綺麗ですよね】

【うわあ、嬉しい事言ってくれるね。なんか奢っちゃおうかな】

【やったー。でも本当ですよ】

【うんうん。咲花ちゃんに言って貰うと自信ついちゃう】

【でもどうして藤代さんなんですか?歳も離れてるのに】

【うーん、難しいなぁ。あの人は弱いけど踏ん張るところは強いのよ。最初会った時は、まだまだその時はお互いの事全然知らなかったんだけど駅前で一人わんわん泣いてて、なんでだろうなんかほっとけなくてね。ハンカチ渡したの。普段知らない人にそんなことした事無かったのに】

【そうなんですか?】

【そうなのよ、後で聞いてわかったんだけどあの人茉奈さんを探しに来てたのね、宛もなく。】

【藤代さんて意外と行動派なんですね】

【そうなのよ、でもノープランが多いけどね】

【あはは、そうなんだ】

【うん。、最初のデートの時も…大阪で会ったんだけど土地勘無いからとりあえずお好み焼きーみたいな感じで。でも不思議なの。あの人の言葉は…】

【不思議?】

【うん。初めて会うまでにいろいろ話したけど、あの人の言葉にたくさん元気を貰ったしたくさん勇気をくれた。いつの間にか好きになってた。不思議よね、でもこの人が隣にいるのは幸せだろうなって思えたの】

【すごいな、そんなに好きで居続けるって】

【あの人、弱いとこも嫌なとこも全部見せてくれたから。それ以上の優しさもくれたけど、あの人が最初の相手で良かったって今も思ってるよ。素敵な思い出になれたもの。初めての行為が好きな人と一つになれて。】

【それいいですよね。憧れます】

【あの人が言ったのよ。初めての相手は後悔しない相手にしなさいって】

【そうなんだ?】

【そうよ、だから最初の時に勢いでそうなったけどそれでも私は良かったのに、そんなんじゃいけないからやり直そうって】

【優しいですね】

【そうなの、わざわざ土曜の仕事終わりに大阪まで来てくれてお互いに知らない街でデートして…最高のデートっわけにはいかなかったけど。忘れられない。】

【いいなー】

【咲花ちゃんなら直ぐ出来るわよ。美人だもの】

【そうかな?自信無いんですよ】

【自信持ちなさい。お姉さんがいろいろ教えるから】

【はい。藤代さんいい人なんですね】

【そうね、少しだけ甘えん坊でダメなとこもあるけど良い人よ。私が愛した人だもの】

【ごめんなさい…なんか取っちゃうみたいになりますよね】

【ううん、今は付き合っていないしあの人が決める事だし。でもあの人の最後は私が貰うわよ。それまで相手が見つからなかったらだけどね】

【はい。お任せします。】

【うん。ごめんねこんな話ばかりで】

【いえ、藤代さんの事しれたし。またお話聞いてください。】

【良いよ。咲花ちゃんは特別ね。きっと似た気持ちになるから】

【似た気持ち?】

【ううん。ずっと先でわかるよ。】

【そうなんだ…今日はありがとうございます。】

【いーえ。またね。咲花ちゃんも無理しすぎ無いようにね】


そうして咲花は会話が終わったスマホを横においた。明日はとうとう手術当日。藤代さんなんとか間に合えば良いな。

そうしているうちに眠りに着いた。


手術の朝、咲花は5時に起きて用意を済ませ早めにでかけた。

(今日はいつもより笑顔でいなきゃ)

なるべく母親のところに行く時は笑顔を心がけている。

茉奈は寂しがり屋だし自分の事より人の心配ばかりする。

「ママ、おはよう」

いつもより元気に言ったつもりだ。

たが扉を開けた先には思い寄らない光景が写った。

スーツの男性が茉奈の隣に座って熟睡してる。茉奈は優しさ微笑みでその人を見ている。


「なんで…」

不意に茉奈がしっーと人差し指を立てた。

「咲花、もう少しだけ」


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