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鈴の音を聞きながらBサイド  作者: セオドア.有羽
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遠い日の残骸を愛と呼べますか6

遠い日の記憶…

智樹の住む地域で大きな地震が起きた翌日だった。

「茉奈、ちょっとクサイ合言葉を作ろうか?」

「何?どうかしたの?」

「うーん、なんとなく地震でもし会うのが延びることいなったら、なんか面白い合言葉決めて約束しようかと思って」

「ふふっ良いよ」

「じゃあ、俺がやっと会えたね、待ったかい?と言う」

「うん。」

「そこで いいえ待ってなんかいなかったわ。」

「うんうん。」

「俺が そうなのかい?と困った顔で返す」

「困るだ、良いね」

「それに だってこの日は必ず来ると、信じていたもの、だから待ってなんかいなかったわ。必然だもの…」

「えー恥ずかしいよ。ともってよくそんなの思いつくね。」

「なんかドラマみたいでいいだろ?少しぐらいはドラマチックなのも良いかなって」

「うん。わかったよ。約束…」

記憶の中の笑い声を思い出す。

夢なのね…そう思いながら茉奈は目を覚ました。頬に伝う熱いものが記憶を一層克明にする。

(とも…きっと逢えるんだよね。)



8月20日の茉奈の手術が決まって、咲花は焦っていた。なるべくそれまでに見つけてあげたい。

募る思いで永遠に連絡をしたが、返答は直ぐには返っては来ず、その知らせが咲花のスマホを震わせたのは午後10時を過ぎようとする頃だった。


【私に聞きたい事って?】

【永遠さん、本当はななさんの事もっと知ってるんじゃ無いのですか?】

【知ってるとして、その情報の見返りは?】

【見返り…ですか?ごめんなさい。何かあげれるものなんて無くて。】

【冗談よ。ごめんなさいついからかいたくなちゃって】

【やめてください。私も真剣なんです】

【貴方は、もし藤代さんが貴方のお母さんと会う事で傷つく人がいたらどう思う?】

【それは…】

【その事で、藤代さんを好きな人がいたら失ってしまうのよ。大切な人を】

【でも…どうしたらいいんでしょう。私…謝る事しか出来ません。例えそうでも例え誰か傷つく事になってもママに会わせてあげたいの。ママにはもう時間が無いから】

【そう…】

【そうなった時は、私が代わりに謝ります。ごめんなさい、真尋さん】

【あら、気づいていたの?】

【途中からです。もしそういう相手がいたら真尋さんなのかなって】

【頭の良い子ね。いいわ。明日名駅前のRってお店で会えるかしら?】

【はい。必ず行きます。】

【じゃあ、11時に。着いたら連絡するわ】


咲花は軽くガッツポーズをしたものの、彼女の言った言葉に複雑な心境になった。

確かに時間が経ちすぎてるから藤代さんに大切な人がいるかもしれない…藤代さん次第だけどひょっとしたらその人から彼を奪う事になるかも知れない。

家族がいるのかも知れない、ひょっとしたら子供も。

そう考えると今やっている事はいい事なのだろうか? ママの話を聞いて素敵な純愛だと思っていたけれど藤代さんだって男なのだからいい人がいるかも知れない。

ママをずっと思って独身なんてそんなに人はたった一人の事を想い続けていけるのだろうか。


何かを掴んだ様な自信が直ぐに崩れ去るような気がして咲花はなかなか寝付けなかった。


そして夜が明けて行く。



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