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鈴の音を聞きながらBサイド  作者: セオドア.有羽
14/30

遠い日の残骸を愛と呼べますか4

アカウント名永遠トワと名乗るそのその人にとりあえず咲花は軽く事情を説明するメッセージを送った。

アカウントを作ったのも今日だし、つぶやきも無い。

どう見ても怪しかったが、今は情報をしらみつぶしに追わないと…

数分後、咲花にアカウントがフォローされて

【Dに来て】

とメッセージが届いた。

咲花は永遠をフォローし、直接話せる場所に移動した。


【マシロさんを知っているのですか?】

【今は知らないけど、誰かは知ってる】

やっぱり、そんな事なのか…

【マシロさんは当時エミリってアカウントの別のアカウント。いわゆる裏のアカウント。何人かは気づいていたと思う】

エミリってママが使ってたアカウント?

【何人かは気づいてたんじゃ無いかな。】

【トワさんはそのエミリさんと何か繋がりがあったんですか?】

【私はその人のフォロワーのフォロワーだっただけ。それと貴方が探してる人。】

【知ってるんですか?】

【マシロさんのフォローしてたのはうっすら覚えてる。でも見つけてどうするの?】

【会って欲しんです。母に。母の昔の大切な人で】

【そう…見つかると良いね。でもその人が会いたいって言うかわからないじゃない】

【そうですね。でも会って説得したいです。母に出来る事をしてあげたいから】

【そう。じゃあひとつだけ思い出した事を教えてあげる。ななって人確か愛知の人だよ。くまなんとかさんが言ってた気がする】

【え?ありがとうございます。助かりました。】

【頑張ってね】

【いろいろありがとうございます】


咲花はスマホを横において話を整理してみた。

マシロさんはママが使っていた別のアカウントかもしれない。

くま吉こと、藤代さんはマシロさんと繋がりがあった。

ななさんは愛知の人。ママも愛知の人…くま吉さんはどんだけ愛知好きなんだろう。


話がそれた…でもななさんの当時の住んでたとこはわかったけど、マシロさんがママならプラスマイナスゼロみたいな感じ…


とりあえず明日、ママに確認しないと。

その日はとりあえず眠りに落ちた。


終業式を終え、咲花は駆け足で病院に向かった。

病室のドアを開けると茉奈は静かに眠っている。

咲花は茉奈の隣に座りその横顔を眺めた。

この前の端末に残っていた茉奈の古い写真を見た。

その写真と比べて顔にシワが増えている。当たり前なのだがたくさん苦労をかけたのだなとしみじみ思う

「あれ?咲花もう来てたんだ?」

不意に茉奈が目を醒ました。

「うん。今日は終業式だから」

「そっかー、何?そんなに見て、やだよだれ出てた?」

慌てて茉奈が口元を拭う仕草をする。

「違うよ、ママにたくさん苦労かけてたんだなって…」ついうつむいてしまった。

「そんな事、気にしないの。咲花はママの生き甲斐なんだから。その為にはママ頑張るもの」

「うん」


咲花は昨日の事を話した。

「そっかぁ、私なりに上手くやってたつもりだったんだけどなあ」

「じゃあやっぱり?」

「うん。マシロはママのもう一つのアカウント。」

「じゃあお別れした後もくま吉さんとやり取りしてたんだ?」

「そうね、当時…パパとは違う好きな人がいて、その人の事書いてたの。そしたらとも…くま吉さんがフォローしてきてね…最初バレたかなと思ったけど全然気づいてなくて…言い出しにくくなっちゃって…」

「ママ、ななって人…覚えてる?」

「なな…なんか聞き覚えあるかな、そうそうともが仲良かった。あんなに若い娘にって思ったもん」

「そうなの?もっと歳の近い人かと思った」

「学生って書いてたから多分大学生だったんじゃ無いかな…」

「じゃあママはお別れした後の藤代さんの様子知ってたんだ…」

「うん。少しだけだけどね、凄く落ち込んで…荒れてて見てられなかった…でも言えなかった。私はあの人じゃ無くて別の人を選んだんだもの。終わったから、じゃあって言えなかった。」

「なんか、悲しいね。」

「そうだね…後はなんかわかった?」

「ななって人が愛知の人だってことぐらい」

「そうなの?あの人どんだけ愛知好きなのよ」

と茉奈が吹き出した。

「そうだよね私も思った。」

そのあと、4時まで病室で過ごして家路に着いた。


携帯を見るとびっくりするぐらいメッセージが届いている。


慌てて追ってみたが多すぎて上手く整理出来なかった。

その中で一件だけ

【あなた、エミリさんの関係者?】

と書かれた物があった。

【何かご存知ですか?】

と直ぐにメッセージを送った。

直ぐに返事が返ってくる。

【もうそういうのヤメてあげて。】

【彼がどれだけ苦しんだか知ってるの?いまさらそういうのヤメてあげて】

咲花には返す言葉が無かった。だけど止めたくない。

その人は直接やり取り出来るところを開放していたから、咲花は迷わずそっちに事情を説明した。なるだけ詳しく。


近くの有名コーヒーチェーンに入り甘いコーヒーを注文して席に着いた。

携帯を見ると返事はすでに返ってきていた。

【あなたの事情はわかったけど、私は当時の智を知っているから、いまさらそういうのやめてほしい。智はずっと苦しんでたよ。】

【そうなんですね…ごめんなさい】

【貴方が謝る事じゃ無いんだけどね。あの日以来、智はしばらく壊れてしまって、体調を崩して入院までしたのよ。当時支えてくれる人がいてなんとか、回復したけど。】

【お詳しいんですね、藤代さんと仲が良かったんですか?】

【私とななちゃんがね智を励ましてたの。】

【ななさん?ななさん知っているんですか?】

【知ってるわよ。あの日…エミリさんが来なかった日の食事会を持ちかけたの私とななちゃんと何だったけきょう…なんとかくん。】

【京介さん?】

【そうそう京介くん、彼に協力してもらって…ちゃんと一度会わせてやりたかったの。あの日の智…横で見るの辛かった…】

【そうだったんですね。じゃあ京介さん、ななさんの事知ってたんだ…】

【ううん、知らないはずよ。あの子警戒心が強かったから本名も私と智にしか教えなかったもの、だから京介君も全然別人だと思ったはずよ】

【なんか凄いですね。】

【あの子が唯一心を開いてたのが智で、智が立ち直るまでずっと支えてた。付き合ってたのかもね、途中から。私は智が立ち直るのみて…なんか二人間に入って行けなくて逃げちゃったから…】

【あなたも藤代の事を?】

【どうだったのかぁ…つらそうなのみて…せめて心だけでも側にいてあげようと思ったんだけど。私じゃエミリさんにもななちゃんにも勝てないと思って逃げちゃったの。】【藤代さんって格好いいんですか?そんなに】

【バカね、格好良く無いかな。うん。見た目はね。でも優しいの。自分がボロボロでも私達の変化に気づいて優しい言葉をくれるの。だから見ていて辛かったの】

【そうなんだ…】

【だから…ちゃんと考えてあげて智の気持ちも…】

【はい。そうします必ず。ところでななさんの連絡先とか…】

【ごめんなさい…そこまでは知らないの。でも写真があるから送るわね。】

直ぐに写真がアップされた。中年の男女と大人しいそうな少女が並んだ写真。ふと見ると家族写真のようにも見えた。写っている男性が藤代だろう。優しい笑みを浮かべている。真ん中の少女がななさんだろうか。

【ななちゃんね、確か名前が真尋麻美だったと思うよ。もし智に会えたら憐が宜しくって伝えて、言えばわかるから。】

そうしてやり取りは終わった。


『真尋麻美』それだけでもかなり前進した気分になった。


後で加筆します

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