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鈴の音を聞きながらBサイド  作者: セオドア.有羽
10/30

6分間だけの恋人6

目が覚めると朝の四時だった。

マナに

【今夜話せるかな?】

と返信した。

いろいろ伝えたい事はあるのだけど、言葉は選ばないとイケない。

その日は仕事に集中してやり過ごした。

夜になって21時に連絡が入る

【11時ぐらいになるけど平気?】

【いいよ。】

一時間…普段飲まない酒を飲んだ…といっても軽めのチューハイなのだが。

お酒の力が無いと上手く話せない気がしていたからだ。

携帯が小刻みに震える

【もう大丈夫だよ】

電話の向こうでマナはいつもと違う落ち着いた声で応対している

「久しぶり、とも…元気だった?

「なんとかね。生きている」

「昨日、来なかったね」

「ああ、ちょっと緊急の用が出来て」

「なんかあったの?」

僕は昨日の事を簡単に説明した

「そうだったんだ…」

「マナは楽しめた?」

「うん。楽しめたよ〜」

「そっか、それなら良かった…」

「とも…話があるの…」

「うん」

「彼から連絡があったの。会えないかって」

「うん。」

「私…会いに行こうと思ってる」

しばらく僕らに沈黙が流れた

「そうなんだ、そうか、マナがそれで笑えるんなら良いんじゃないかな」

「うん…」

僕は沈黙を逃れようととりとめのない話を繰り返した。

会話が始まってすでに50分が過ぎようとしている。

「マナ、お願いがあるんだ」

「ん?」

「日付が変わるまででいい…気持ちをちゃんと伝えたいだ」

「うん。」

時刻は23時54分

「マナ…好きだよ。大好きだよきっと生涯で一番の恋だった」

「とも…私も好きだよ」

「愛してる…」

「私も愛してる」

「この気持ちはちゃんと伝えたかったんだ。日付が変わったらちゃんと終わらせるから。」

「今だけ…6分間だけの恋人だね」

「うん。今だけは僕等は恋人同士だね」

「ありがとう…」

「マナ…きっと忘れないよ。冬になったら…寒くなれば君を思い出すよ」

「うん。私もともを思い出すよ」

「マナ…もしも遠い未来でもしもまた出会えたらその時は恋をしよう」

「ふふ、おばあちゃんでも良いの?」

「構わないよ、マナがそばにいてくてたら、それでいい。たくさん話してマナの声をいつも聞いていたい」

「じゃあ初めましてからやらなきゃね」

「うん。約束しよう」

「うん。約束…」

「もう時間だね」

「そうだね…」

「元気でね、マナ」

「ともも元気でね」

「愛してる。」

「うん」

プープープーと通話が終了した合図が耳にこだまする。



東海と九州  遠い土地で二人の嗚咽を深夜の闇が飲み込んでいった…

優しい春は終わりを告げた

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