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鈴の音を聞きながらBサイド  作者: セオドア.有羽
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あの日僕は晴れ間の広がるとこに君を連れ出したかった1

完結している鈴の音を聞きながらの改稿です。エンディングを変えようと思っています

【じゃあ僕の背中を貸しますから好きなだけ泣いてください】

その一言から僕らの恋は始まった。

SNSを通じて知り合った僕らはそこはかとなく何度かメッセージのやり取りをしながら不意に彼女に投げかけた言葉に彼女から直接的なメッセージが来たものだから、年甲斐もなく焦ってしまった。

5年目の結婚記念日に突然妻が出ていった部屋の広さを噛み締めながら、携帯のディスプレイに浮かんだ彼女からの言葉を何度も読み返してみる。

【くま吉さんの背中で泣いても良いのですか?その時だけ受け止めてくれますか?】

その言葉にどう返答して良いか数十分悩んだ。

どういう切り返しがうまく伝わるだろうと、考えて結局のところ

【僕の背中で良ければいつでも言ってください】

なんてありふれた返答になってしまったのは自分でもなさけ無かった。

またある時の呟きに

【エミリさんの事は誰にも紹介したくありません】

なんて馬鹿な事を書いたのに

【なんかこの前からくま吉さんにはドキドキさせられてばかりです。】

と返事が来たものだから逆にこっちがドキドキさせられてしまう。

アカウント名エミリさんに不意に言葉をかけてみようと思ったのは色んな経緯があるのだけど、現在のくま吉のアカウントを作ってやっと見つけた彼女の呟きからはとてつもなく哀しみを感じた。

まるで土砂降りの雨を前に立ちすくんで今にも泣き出しそうな少女を見るような感覚に囚われた。不意に僕はその手を引っ張って雨が上がった晴天に連れて行きたいと思った。それまでの経緯があるのだけれど、前に一度だけ見た彼女の笑顔の写真を知っていたからどうにかまた彼女に笑って欲しいなという一心で最初のメッセージを送った。

それから何度となく三日に一度のメッセージ交換が2日になり僕らはいつしか毎日何かしらのやり取りをするようになった。それは他愛もない会話から、お互いにからかい合うような、ただの知り合いからだんだんと友達になり、いつしか彼女から

【くま吉さんには是非会ってみたいですね、背中借りなくちゃ(笑)】

と言うメッセージが来たものだからその文字を見た時胸がぎゅっと痛む感覚に襲われた。すでに僕は年齢的に三十路に向かう年齢で若い頃にそれなりに恋愛を経験したつもりだったのだけど彼女とのやり取りは僕をまるで10代の頃に引き戻す様に時間を巻き戻されてしまう。

【是非…是非会ってみたいです。エミリさんに】

【くま吉さん、なんか慣れてますね】

【そんな事は無いですよ。実は人見知りで…文字ならなんとか出来るので】

【ふふ、ごめんなさい、ついからかいたくなりました。やり取りを見れば真面目なのわかりますよ。】

【あっ、やられました。あまり歳上をからかわないでください】

【え?私そんなには離れて無いですよ】

【そうなんですか?てっきり二十代前半かと】

【嬉しいな、違いますよ今年で26だからくま吉さんとそんなには変わらないですよ】

【そうなんだ。僕は29なので3つ違いですね。驚きました】

そう言ったやり取りで僕らは自然と親近感を覚えた。

何度目かのやり取りで二人して会いたいねと言い始めた。自然と僕らはお互いを呼び捨てで呼ぶようになりお互いのホントの名前を教え合うようになった。

だけれど僕は彼女に打ち明けなければならない事実があって、その日それを打ち明ける決心をした。

僕らの関係を進めるかどうかの大事な日だった

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