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アレク


一瞬のような長かったような。


どれくらいの時間であったかはわからない。


魂が体に馴染むには時間がかかったのか。


漸く葵は覚醒する。



転生…されたのか…?



辺りに意識を向けてみる。


暗い、真っ暗だ。



もしかして失敗したのか?!



不安になり、更に意識集中するもわからない。



!!!


しまった!!


転生先について全く聞いていなかった


大失態だ…


裂け目から一刻も早く逃げ出したい気持ちが焦りを生んだのか


冷静が聞いて呆れる…自分のことだけど…



今更確認しようもない。


完全に詰んでいる。



仮に胎児だったとすればこの状況もわからなくもない。


だが、そうだった場合いつになったら生まれるのか。



ステータスの確認もできやしない


ああー…ほんまやってもうた


あかんやつやこれ



最悪のケースは失敗しているパターンだ。


これも確認のしようがない。


次元の裂け目ではないことはわかるが。



どうすっかなぁ…





(ねぇ、だれかいるの???)





ひょえっ!!?



また変な声が出た。



おい!!!!またこのパターンかよ!!!!勘弁してくれ!!!!!



突然の声に、管理者とのファーストコンタクトが思い出される。



次から次にと!!精神が持たんぞ!!



(そっちこそ誰だ!何処にいる!!)



この返しも同じである。



(ぼく?ぼくはアレクだよ。どこにいるかはわかんない)



ぼく?アレク? あぁ、アレクって名前か。


よくよく先程の声を思い返してみると子どもの声だ。


可愛らしい幼い声。


まだ10歳にも満たないだろう。



子ども?どういうことだ?


まじでわけがわからんことが続きすぎてるぞ!


俺ってこんな運が悪かったっけな…



(きみこそだあれ?)



頭を抱え嘆く俺に、アレクは遠慮もなく聞いてくる。



そういや人に聞いておいて名乗ってもいなかったな


管理者のやつには最後までしてなかった気がする


まぁあいつはどうでもいいけど



転移が無事終わったかは定かではないが、葵の中ではもう彼は用済みのようだ。


最低だ。



(すまない。俺の名前はアオイだ、アレク。わかんないよな…にしても一体ここはどこだ…)



結局その疑問に辿り着く。



一度順を追って考えてみよう。



俺は管理者に転移されてこの世界に来たはずだ。



これはまぁ仮定だな


転移については、消滅しかけてる魂ととって代わるように肉体に移動させるんだっけか


移動というか憑依と言った方が適切だな



そして、魂への干渉はこの世界でしかできない。


だからこそここが選ばれたはずだ。


なぜ魂が消滅しかかってる肉体でなければ俺の魂を移動できないのか?


それは勿論、既に魂があるところに魂を移動させると、

できるかどうかはわからんがひとつの体に魂がふたつになるわけで……





おい


おいおいちょっと待て


……これじゃないか?


消滅してなくなったところに魂を入れる これは問題ない


だけどその消えるはずの魂がなんらかの理由で消えなかったとしたら?



……



………




ちょーーーーーい!!!!!!


めちゃくちゃこの可能性が高い!


今のところ思いつく原因の中で一番ありえる


あほかーーーー!!!!


正直、憑依先の元の魂には消える原因がなんであれ申し訳ないなとは思ってたよ


でもこれは最悪やろ!!!


強制同居生活とか!


俺自身も御免被る自体だ


ぼっち肯定派だし!!



などなど…


今の葵が置かれている状況に気付き、一気に慌てる。



(アオイ?どうしたの?)



無言の葵を気にしてアレクが聞いてくる。



あぁ…どう説明したもんかな…


説明したところで、こんな子どもに理解できるかもわからんしな…



どうすればいいのか悩むも話す他はない。


それと先ずは謝罪だ。



(あ、あのな。確実なことは言えないが、どうやらアレクの体に俺の魂が入ったようだ。…本当にすまん!)



アレクは無言だ。返事がない。



そりゃそうだ わからんよな、俺もわからん



(わかる…か? そうだよなー…わかんないよなぁ)



困った 非常に困った


仮に理解できていたとしてもその内容は取り憑いたごめんってことに等しい


それを許す人間がいたらそれは聖人かなんかだろう


許さない!って言われても俺にはどうすることもできないんだけどな…


せめて事態を理解して貰えるように努めよう



葵がもう一度説明しようとしたそのとき



(んと。よくわかんないけど。ぼくのなかにアオイがいるってのはわかったよ!よかったー!かみさまかとおもった!)



へ?神様?なんで?


んー、確かにこんなことになればそう思うかもなぁ


心に語りかけてくるなんて神様っぽいし


でもなんか違和感があるな



(神様だと思ったってなんでだ?)



素直に聞いてみることにした



(えっとねー。ぼく、こわいこわいひとにばーってやられたんだ。だからしんじゃったのかとおもって…)



そうか 神様ってそういうことか


つまりこの子は何者かに殺されたんだ


いや…魂がまだあるんだ 殺されそうになった、だな


しかし、なんらかの理由で死ぬまでには至らなかったと



ここまで考え、奥底から不快な感情が押し上げてくる


こんな幼い子が殺されそうになる世界…怖い、というより胸糞が悪いな…



(でもよかった!ちがうくて!それにね、あのね!アオイがきてくれて、ぼくはうれしいよ!ぼくずっとひとりだったから!)



葵のネガティブな思考を遮るように、弾んだ声でそう言ってくる



かわいい… べりーきゅーとだ


そんなことを思うと共に、アレクを殺そうとした何者かに対する憤りが強くなる


うむ いかんな 冷静にならなければ


無事なんだ 今はそれで良しとしよう


というかこんな同居人ならおっけーだ アレクもいいって言ってくれてるし…




それよりもずっとこの状態なのか?


いくら相手がいいと言ってくれているからと言って、いつまでもこのままという訳にはいくまい



テンションが上がりながらも我に返り疑問に思っていると



(アオイー。なんだかぼくねむくなってきちゃったよ…またおはなししようね…)



え ちょ、ちょっとまって まだ聞きたいことが…



焦る葵をおいてけぼりにそう言い残すと、徐々にアレクの気配が消えていった




本日の投稿は次でラストの予定です。

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