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管理者

「うえっ!!!???」


思わず変な声がでた。



え?今声が聞こえたよな???


だ、誰かいるのか??!



突然のことに困惑しながらも慌てて辺りを見回す。


だが、どれだけ辺りを見回しても人の影は見当たらない。



「おい!!誰だ!!!頼むから返事してくれ!!!」



縋るような思いで必死に叫ぶ。



「あ、はい!すみません、急に声かけちゃって…びっくりしますよね。ほんとすみません…」



謝られた。


頭に直接語りかけてくるような感覚。


姿は見えないのに声はする。


おかしい。


どう考えたっておかしい。


頭がどうかしてしまったんだろうか?



「怒ってますよねぇー、そうですよねぇー…あぁーどうしようどうしよう…」



怒ってる?どういうことだ?


訳はわからないが、幻聴の類ではないかもしれない。



俺が精神的におかしくなったと判断するには、まだ早いかもしれん



そう思い直し再び問いかけてみる。



「これは…どういう状況なんだ?何処かに隠れているのか?何か知っていることがあれば教えてくれ!」



とりあえず会話を試みよう


何か俺が知らない情報があればわかることがあるかもしれない


まぁ、それすらも俺の妄想じゃないという保証はどこにもないが…


そんなことを考えながら返答を待つ。



「あっ!すみません!これじゃわからないか…待ってください、すぐ実体化しますから!」



そう聞こえるや否や目の前の空間に白い靄がかかる。



は?なんだ!? ん…?実体化???



思考が追いつかないうちにそれは現れた。


おどおどした表情の白髪の男。


長身の割に痩せた体。180㎝以上はありそうだ。


白髪ではあるが老人というわけではなく若く見える。


見た感じだいたい20代くらい。葵と同じ年頃くらいだろうか。


「挨拶が遅くなって申し訳ない…管理者といいます」



管理者???


管理者というくらいだから、こいつはここが何かわかっているのか?



そう思い、ずっと考えていた疑問をぶつける。



「そんなことはいいんだ。一体ここは何処で何なんだ?それにさっきの声。頭に…」



言い終わらないうちに管理者は被せるように答えてくる。



「ごめんなさいごめんなさい!あなたの世界じゃ念話ってないですもんね。すみません!えっと、ここはですね、次元の狭間といいまして…。文字通り世界と世界の隙間といいますか…」



次元の狭間???!!!!


なんだそれは…神隠し的なやつか?違うか…


俺がいた世界とは異なる次元にいるっていう解釈でいいのか?



「よくあることではないんですが、世界はそんなに完璧なものじゃなくてですね…たまに落とし穴というかこういう場所が出来てしまうんですよね…」



管理者はそう言って続ける。


落とし穴?…どう考えてもまずすぎる状況なのは間違いなさそうだな…


虚無の孤独から解放された安堵からだろうか。


少しは冷静になった葵は更に情報収集に努める。



「なるほど。わかった…とは言い切れないけどなんとなくわかった。ありがとう。早速で悪いんだが、ここから出る方法を知っているか?」



恐縮しまくりでおどおどしている管理者に礼を言いつつそう尋ねる。


そういやさっきから謝ってばっかだな


なんかすごくやりづらい…



「そんなそんなありがとうだなんて…!元はと言えば私のせいですし…えっと、ここから出ることは出来ると言えばできるんですが、元の世界に戻るという意味では無理ですね…」



……


…………


………………




「はぁ?!!!お前のせい???!!!ふざけんなよ!!!」


「すみませんすみませんすみません!!!」



フリーズした頭が再起動すると怒鳴っていた。


それに対し、土下座しかねない勢いで謝罪してくる。


というかしている。


この空中浮遊よろしくの空間で器用なものだ。


だがそれどころじゃない。


おい 色々と衝撃的すぎてブラックアウトしかけたぞ


こいつのせい?!!! しかも戻れないって?


考えてないようにしていたが、その可能性は考えていた。

だからこそ、つい先程おかしくなりそうだったのだが。



あぁ…終わった…なんでこんなことに…


運が悪いってレベルじゃない


運悪く次元の狭間に落ちましたってなんだそれ…笑えねえ…



事の大きさに目眩し、思考を停止したい衝動に駆られる。


疑問という予想は当たらずとも遠からずだった、ということだ。


つまりは最悪のパターン。


悪態をつき泣き喚いてしまいたい。


そうすれば楽になれるだろうか…。




まて…出ることは出来るが元には戻れない…どういうことだ?



諦めるかけたところにまた疑問が湧いてくる。



「……詳しく説明してくれ…」



悲観したところでどうにかなる状況ではないのはわかっている。


それに、出られない訳ではないという一点においてまだ諦めるのは早い。



おずおずと立ち上がり、上目遣いで俺の様子を伺いながら、

管理者は小さな声で話し出した。



「この次元の狭間は世界から断絶された特殊な空間なんです…いつ何処で発生するかもわからない歪み…それに囚われ落ちるように…来ようと思って来れる場所ではないため、そういった原因でしか入ることはできません。そのため一方通行なのです…」


ちらちらとこちらの様子を伺いながらも話を続ける。


「…また、この空間には世界の住人の肉体は耐えられず消滅し、精神体でしか存在することが出来ません…あなた様は…今は魂だけの存在と言えばいいでしょうか…ですので、元に戻るための肉体がもうないのです。これが戻れない理由のひとつですね…」


はぁ…と息を吐き、何やら覚悟を決めたように深呼吸をすると

拳をぎゅっと握りしめ再開する。


「元より精神だけの存在である私たち管理者が例外的存在なのです…その名の通り…世界を安定させ歪みができないように管理すること…万が一歪みができてしまった場合、それを直すことが仕事であるからです…私のせいだと申し上げたのは、こういった事態を未然に防ぐことも勿論それに含まれるからで…しかし、言い訳にしかなりませんが…気をつけていてもこういった不具合が起きてしまうことがあるのです…誠に…申し訳ありません!」



言葉を選ぶようにゆっくりと、そして最後は力強く謝罪を述べ説明を終えた。




そうか…要するに俺はもう死んでるようなもんなんだな…



最初に思ったのはそれだった。


ゲームを作る仕事をしたいという夢は一部ながら叶った。


いいことばかりではなく辛いこともあったが、総じていい人生を送っていたように思う。


だが、まだまだ途中であった。


未練は当然ある。ないわけがない。


したいことはたくさんある。しかし、もうそれは叶わないのだ。



にしても不具合ねぇ…


俺の仕事でもそうだったな



何度も試しデバックし、いくら頑張って気をつけていても完璧にそれをなくすことは難しい。


だからと言って許せる訳ではないが。



「まぁ、原因なんかは理解した。で、お前は″元の世界に〟って言ったてたな?元じゃない世界には戻せるってことか?」



そう。そこなのだ。こいつの話だけ聞けばそう捉えられる。


それが正解であったとして、また疑問点は出てくるのだが。



「そ、そうです!別の世界にある肉体に魂を移すことは可能です!厳密に言えば、魂が消滅しかかっている肉体であれば可能です。生まれる前の胎児にも魂は存在しますから、それを私が消して置き換えることは不可能です。」



ふむ 転生ってわけでもないのか

そもそも肉体が健在で魂は消滅って状況がわからんが



「その方法だと、俺がいた元の世界に戻すことも可能なんじゃないのか?俺の体が消滅している以上、元通りってのは無理なんだろうが、魂消えかかってる別の人の体を使って戻るとかさ。」



これが先程の説明を聞いて浮かんだ疑問だ


話を聞く限り無理ではない気がする


まぁ別人の体で戻っても微妙だが、俺の記憶はあるはずだ


それなら相手には俺がわからなくても、また会いたいと思う人たちを

遠目からでも見ることはできる


それはそれで辛いかもな…


そんな風にかんがえていると



「それができないのです…世界にはそれぞれの物理法則があり違います。あなた様がいた世界では魂という概念はあっても魂を消すような方法はないはずです。私たち管理者は、それぞれの世界の法則に従った上でしか干渉できないのです…」



確かにそんな方法はないな


ぶっちゃけ魂ってあったんだと思ったし


天国とか地獄とかってあんのかな?



「わからないけどわかった。元の世界に戻れないってのはな。じゃあ、俺の魂を移す世界ってのは魂を消す手段がある世界ってことか……どんな世界だよそれ…」



冷静に考えると怖すぎる


そんなとこに行けってか?


危なすぎるわ!! のーさんきゅー 別の世界にしてくれ


ってそれじゃ移せんのか 全然ええ話ちゃうやんけ!!!



「魔法が存在する世界…ですね…」



心の中で関西弁になる葵をよそに管理者は答えはじめる。


どうでもいい情報だが、普段は標準語に近い喋り方の葵は

出身が関西ということもあり興奮すると方言がでるのだ。



「そこでよろしければ移せます!よろしければ、ですけど!ダメだとおっしゃられたところで、他に思いつくこともないんですけど…あぁっ!すみませんすみませんすみません!ちゃんと考えますよ!今までと違う世界で不安があるのはわかります!ですので、その世界でも安全に過ごして頂けるよう、配慮は勿論させて頂きますので!」



他に思いつくこともない…の件でチラッと睨むと慌てたようにそう捲したてる。



魔法かぁ…急にファンタジーファンタジーしてきたな…


ゲーム好き 当然マンガやアニメ、ラノベなんかも読むしそういうのは好きだよ?


でもそういう世界で生きることになると言われたら好き嫌いの話じゃないよな…



躊躇するのは命の危険があることだ。



それに自分で言うのもなんだが俺は性格が良くないしな…


腹黒いというか性格が歪んでるし割と短気だし…


おおよそ主人公タイプではない。


別に主人公のように生きる必要はないのだが、慣れない世界で生活するには

コミュニケーション能力は必須だろう。


コミュ力が低い訳じゃないな…外面はかなりいいほうだし…


でも性格悪いのがばれて死ぬ、なんてこともありえる世界だよなぁ、

よくあるファンタジックな世界だと



うーむ…



「配慮ってのは具体的に何をしてくれるんだ?話はそれからだ。お前のせいでこんな事態になってんだからそれなりのもんなんだよなぁ?」



「ひぃっ!!」



やや語気を強めた口調にびびる管理者。


とりあえず要求して得られるものは最大限得てやろうと意気込む葵。


早速性格の悪さが出ていた。








文字数多い気がします… 上手くまとめられない…

読みにくかったらすみませんすみませんすみません


今日の更新はまだ続きます。

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