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「……いや、まあいつものことか」
といい聞かせてみたけど、今さっき見た瑠美の脚がどうにも頭にチラついて仕方がなかった。
あらら? どうしちゃったの、わたし。
瑠美の脚を見ることなんて今までなんどもあったし、きれいだな、とか、細いな、うらやましいな、とか思ったことはあるけど、うまそうだなんて考えたこともなければ冗談で口に出したこともないし、ましてやこんな風に意識したことなんてないのに。
こんな風ってどんな風?
ダメだ。頭が混乱してきた。
気を落ち着かせるため、瑠美が帰って来るのと入れ違いで、わたしもそそくさとトイレへ向かった。
「これはアレだ。憧れ的なアレだ、うん」
鏡に映った自分にいい聞かせてみる。
洗面台の脇に置かれた姿見に映ったわたしの太ももは、お世辞にもうまそうとはいえなかった。