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「重くない?」
「全然。そっちこそ、顔が近くてイヤじゃない?」
「ううん、イヤじゃないよ」
今のわたしたちがお互いをひとり占めできるのは、きっとこのくらい。
そう、このくらいの重さで、このくらいの距離で。
でも知り合って二ヶ月でこれなら、ひょっとしたら夏頃には――。
なんて、ちょっぴり変な想像をしたけど、でも不思議と悪い気はしなかった。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
やっぱり、見られたら意識するのかな。
太ももの上に乗った瑠美の頭をなでながら、そんなことを思った。 <了>




