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5kgの距離  作者: 新々
17/22

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 髪が長くて助かった。

 なんてことを考えていたら、


「最初はね、すごくかわいいって思ってたんだよ」


 と、ひとり言でもいうように、瑠美が話を切り出した。


「似合うなーって」

 いつから気づいてたの、と訊くと、トイレから帰ってきた時から、と返された。

「……気づいてたんなら、なんかいってよ」

「だって桃花、何もいわなかったじゃん」

「……そうだけど」

「あ、ごめん。そういうこといいたいんじゃなくて」


 そこで瑠美は自分のアイスラテをひと口飲んだ後、しばらく黙ってしまった。

 でも、やがて意を決したようにうなずいて、こういった。


「正直いうと、桃花のこと、ひとり占めしたかった」


 わたしはその言葉を理解するのにしばらく時間がかかった。

 ようやく頭が回り始めたところで、瑠美の言葉が続く。

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