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髪が長くて助かった。
なんてことを考えていたら、
「最初はね、すごくかわいいって思ってたんだよ」
と、ひとり言でもいうように、瑠美が話を切り出した。
「似合うなーって」
いつから気づいてたの、と訊くと、トイレから帰ってきた時から、と返された。
「……気づいてたんなら、なんかいってよ」
「だって桃花、何もいわなかったじゃん」
「……そうだけど」
「あ、ごめん。そういうこといいたいんじゃなくて」
そこで瑠美は自分のアイスラテをひと口飲んだ後、しばらく黙ってしまった。
でも、やがて意を決したように頷いて、こういった。
「正直いうと、桃花のこと、ひとり占めしたかった」
わたしはその言葉を理解するのにしばらく時間がかかった。
ようやく頭が回り始めたところで、瑠美の言葉が続く。




