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5kgの距離  作者: 新々
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 大好きなはずの笑顔は、でも、その時は気に食わなくて。


 だから初めはなんかすごく腹が立ったけど、でもだんだん悲しくなってきて、気づいたら視界がぐにゃぐにゃになっていた。


「……そんなに笑わなくったっていいじゃん」


 そう口にしたら、なんだか力が抜けちゃって。

 何してんだろ、わたし。

 もうヤダ。

 そう思ったらよけいに涙が出てきてしまった。


「あ……ごめん、桃花」

 急に沈んだ声になって、瑠美がわたしを抱きしめてくる。

「本当にごめん。ごめんね」


 わたしの頭の中は、顔と一緒にもうぐちゃぐちゃのごちゃごちゃだった。

 本当はもう逃げ出したいくらいに恥ずかしかったのだけど、瑠美に抱きしめられてたし、それがなんだかこう――言葉はアレだけどその感触が気持ちよくて、もう自分でも何をいってるのかよくわからないけど、でもとにかく今は泣かずにはいられなかった。

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