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セカイ防衛少女毒リンゴ  作者: 苺鈴
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賀東先生と恋バナ

 昼休み。星屑学園の本校舎裏のとある小さなスペース。学園敷地内で唯一、喫煙が許される場所。そして、ここは僕、賀東紫苑の秘密の隠れ場所でもある…。この学園に赴任してきた当初は、学園中どこにいても生徒たちに追いかけられて…よく、ここへ逃げてきたな…。

 あの出来事は、全部夢だったのだろうか…。剣崎先生の話だと僕は、あの日、唯君に会いに屋内プールへ行き、プールサイドで滑って転んでプールに落ちて溺れて、それを助けようとした唯君も溺れてしまって…。それで、僕たちを先生方が助けてくれたらしいけど…。滑って転んでプールで溺れるとか…情けなさすぎる…。起きた時には、病院のベットの上で、唯君に会ってからの記憶が全くなくて…。

 あの女の子は、誰だったんだろう…?輝く黄金の髪と瞳をした女の子…。あやふやな記憶の中で唯一、覚えていること…。そして…柔らかい唇の感触…!まさか、僕は、その子と…!

「きききき、キスーーーーっ!?」

「…賀東先生!?どうしたんですか…?」

 は!我に返る僕。隣にいたのは、ヤニ休憩に来た橘先生だ。

「橘先生、すみません…!急に大きな声出して…。あと、一昨日もご迷惑をおかけして、本当にすみませんでした…!プールで溺れるとか…情けないですよね…。」

「いや、別に…。それより、どうしたんですか?急に、大きな声出して…。あと、さっきからずっと唇を指でなぞってますけど…吸いたいんですか?」

「いいえ!そういうわけでは…。橘先生、変なこと聞いてもいいですか…?」

「…何ですか?」

「あの…橘先生は、ファーストキスはいつでしたか…?」

 橘先生が咥えていたタバコが落ちる…。

「な…!?何ですか、いきなり…!?」

「すみません!いきなり、変なことを聞いて…!」

「…そうですね、覚えてないです。それじゃ、賀東先生はいつだったんですか?」

「…僕は、その、お恥ずかしながら…この齢まで女性経験が全くないんです…!」

 橘先生が咥えていたタバコがまた落ちる…。

「…はぁあああ!?嘘だ!!あんた、その容姿で女が寄って来ないわけないだろ!!あんた、股間に立派な核弾頭を搭載してるんじゃないんですか!?」

「な、何の話ですか…!?」

「頼む、嘘だと言ってくれ…。俺みたいなニコチン依存性悪クズ野郎でもそれなりに経験あるんだぞ!!まあ、女は●処理くらいにしか思ってないけどな…。」

 なんか今、教職員、いや人間としてあるまじき問題発言しましたよ!!

「…それで、何でそんなこと聞くんだ…?」

 あれ?橘先生…タメ口になってる。僕が童●と知ったとたん、僕のこと見下し始めたよこの人!!

「一昨日、僕がプールでおぼれた時に…先生方が来る前に、女子生徒の誰かが僕にその…キ、いや人工呼吸をしてくれたみたいでその…。」

「ああー。それが、賀東先生のファーストキスに…。(毒島のことか…)」

「…そうなんです。それで、その…。」

「まさか…その女子生徒に…恋しちゃったとか?」

 ボンっ!!(賀東先生の頭が爆発する音)

「賀東先生…。顔真っ赤だぞ…。(冗談で言ったんだけどな…。てか、毒島もこんな反応してたよな…。)」

「ちちちちち、違います!!」

 生徒に恋とか…犯罪でしょ!!橘先生以下のクズ野郎になるじゃないですか!!


「おーい!こうたん。あれ!しーちゃんも一緒なんて珍しい!」

 相川先生がやってきた!!

「相川、いいかげんその呼び方やめろ…!だが、いい所に来たな、相川。賀東先生、こいつの左手を見てみろ!」

 相川先生の左手の薬指に光輝くものが!まさか…結婚指輪!?

「相川先生って結婚していらしたんですか!?」

「うん!3年前に。俺とあっちゃんは、ラブラブの新婚だよ!」

「あっちゃん…?」

「俺の愛する妻、天音ちゃん!俺たちこの学園で出会ったんだ。俺は高等部で、あっちゃんは初等部だったんだけど、もう運命の出会いだね!!」

「それって…犯罪じゃないですか!?」

「だから、賀東先生、年の差なんて…気にするな!」

 橘先生、何さわやかにタバコ吸いながら「俺良いこと言った」みたいな感じになってるんですか!?橘先生…絶対、僕のことおもしろがってるだけじゃないか…!いじめられるなら、生徒じゃなくても誰でもいいんですね!

「…よくわかんないけど。しーちゃん、もしかして…生徒に恋しちゃったの?」

「違います!!」

「えー。顔赤いよ?誰だろう…?しーちゃんのクラスの子かな?…じゃあ、もしかして…リンリン?」

「…リンリン?」

「毒島のことだよ。」

 そういえば…あの女の子の声…リンゴさんに似ていた気が…ってそうじゃなくて…それに僕は、その女の子に恋したわけじゃ…。

「リンリンなの?」

「違います!!…僕、次の授業の準備があるので、失礼します!」

 あの女の子の声がリンゴさんに聞こえたのはきっと、あの制服の一件で僕がリンゴさんにたいして罪悪感を感じていたから…。その潜在意識のせいで、リンゴさんの声に聞こえただけだ…。そういえば、今日リンゴさんが僕と目を合わせてくれないし、なんだか避けられている気がする…。やっぱり、制服の一件で嫌われちゃったのかな…。





 





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