リンゴとヤンキーとメガネ3
取り巻きB君の尾ひれを付けられまくった毒リンゴの噂はつづく。
「毒島リンゴの両親は事故でなくなったらしいんですけど、それも『毒リンゴの呪い』のせいだって!」
「はぁっ?お前今なんつった!!」
自分でもびっくりするくらい大きなドスの利いた声が(胡桃君の話し方がうつったのかな?)でた。
不良グループも七五三木さんも私の豹変に唖然としていた。噂や冗談でもひどい!許せない!
「な、なんやお前、毒島リンゴなんてえげつない名前つけられた仕返しにやったんやないの?」
胡桃君の一言で私の中の何かが弾けた。
私の右の握り拳が胡桃君の頬に炸裂した…!
5年間のあの日のように、いや、あの日よりも強い怒りと悲しみをこめて…!
『ジョーさああああああんっ!!』取り巻き二人の叫び声。
ドカッ…。
胡桃君の身体が私の足元に倒れた…。
朝練が終わり、生徒と先生が校内に流れ込んできた。騒ぎを聞きつけ人々がつぎつぎと集まってきた。
「何があったんだ!?」「ケンカ?」「生徒は早く教室に行きなさい!」「あ、あれ毒島さん!」
「不良グループの仕業か?」「毒島さんてさ…」「毒リンゴって知ってる?」「友達が東小なんだけど…」
私、毒島リンゴの中学2年の春、いやもう初夏の香りがする頃。
私は中学校を辞めた。