新しい出会い1
その人は、女の子だった。青みの強い紺のジャケットに白のブラウス、赤いリボンに灰色のチェック柄のスカート。高等部の先輩だ…!くせ毛がひとつもない見事な藍色の長い髪を腰までのばし、日焼け一つない透き通るような白い肌。瞳は髪と同じ藍色。顔は…とてつもなく綺麗な人…!
「ごきげんよう。はじめまして、あなたは…確か、中等部2年の毒島リンゴちゃんよね?」
「…は、はじめまして…。えーと、その…あなたは…?」
そこへ、ももがやって来た。
「おまたせ、リンゴ。ああ!琳華先輩。おひさしぶりです!」
「ごきげんよう。ももちゃん。」
「リンゴ、紹介するね。この人は、高等部2年の青島琳華先輩。わが美術部部員であり、なんと星屑学園の生徒会長なの!」
「せ、生徒会長!?」
「改めてまして、初めまして青島琳華です。ももちゃんからあなたのことは、よく聞いてるわ。よろしくね、リンゴちゃん。」
「こちらこそ、よろしくお願いします!青島先輩。」
「琳華でいいよ。美術部員と言っても、ほとんど幽霊みたいなものだから…。生徒会長も先生方に押し付けられただけだから。」
「琳華先輩は、成績学年トップなんだよ!つまり、この学園で一番頭が良いんだよ。全国模試でも常に上位だし。そして、なにより美人だし!わが学園の花ですよ!」
「もう、ももちゃんたら…。勉強しか取り柄がないだけよ。」
「そして、この謙虚さ!!美人で、頭良くて、性格まで良いなんて…!」
「ももちゃん、大げさだよ…。」
琳華先輩ってすごいなぁ…!
あれ?誰か来たみたい。
「あー。いたいた、青島会長ー!!探しましたよ…。」
高等部の先輩だ。
「あら、どうしたの小林君?」
「どうしたの、じゃないですよー。会長が今日の放課後、来週のボランティア活動の打ち合わせするから生徒会室に集合って、言ったじゃないですかー。みんなもう、集まってますよ…?」
「あら!?ごめんなさい…。すっかり忘れてたわ…。今、すぐ行きます!…それでは、ももちゃん、リンゴちゃんまた、今度ゆっくりお話ししましょうね。」
琳華先輩は、急いで部室を出ようとしたその時!
琳華先輩が転んだ!!段差もなにもつまづくようなものないのに…。
『琳華先輩、大丈夫ですかー!?』
「…あはは。大丈夫よ。そそっかしくて、ごめんなさいね…。それじゃあ、ごきげんよう。」
琳華先輩が転んでぶつけたところをさすりながら美術室を出て行った。
「琳華先輩、超ドジッ子なんだよね…。でも、そこがまた可愛い!!」
琳華先輩…。あの藍色の覚醒者に似ている気がしたけど…気のせいかな?もしかして、藍色の覚醒者って琳華先輩の兄弟とか?
「もも、琳華先輩ってこの学園に兄弟とかいる?」
「うーん、兄弟はいないと思うよ。琳華先輩ってあの大手企業『青島グループ』の社長令嬢なんだよ!」
毒島リンゴと青島琳華ってなんか名前似てるよね…。でも、私は普通の地味な女子で…琳華先輩は美人で、頭良くて、性格良くて、社長令嬢…そして、ドジッ子…。この差はいったい…?
「学園内で、琳華先輩に似ている男の子を見たんだけど…。誰か心当たりない?」
「琳華先輩似の男子なんかいたら、すぐ注目の的になるでしょ!」
「そりゃ、そうだね…。」
「そんな男子がいたら、超絶美形イケメン教師の賀東先生の地位も危うくなるよ!!」
「僕が、どうかしましたか?」
『賀東先生!!どうしてここへ…!?』
「僕は、美術部の顧問ですよ…?そうだ、リンゴさん。新しい制服なんですが、発送が少し遅れてるみたいで、届くのは月曜日になりそうです…。今週中には届くと思ったんですが、ごめんね…。」
「いえいえ、先生が謝ることはありません。月曜日が楽しみです!」
「リンゴ、やっと新しい制服になるんだねー!リンゴが赤襟のセーラーでなくなるのちょっとさみしいな…。でも、良かったね。これでお揃いだね!」