リンゴVSクリーム4
もう、どのくらい走ったんだろう…。僕は姉さんに手をひかれて必死で逃げていた。みんな、死んでしまった…。父さんも母さんも、下の妹も…。友達も…みんな…。
「僕…もう、走れないよ…。」
「だめよ!クリム、もっと遠くへ逃げなくちゃ…!ほら、がんばって!」
「みんな…どうして、僕たちのこと…嫌いになっちゃったの?」
「私にもわかんない…。でも、世界中の人が私たちのこと嫌いになったわけじゃないよ。もっと遠くへ行けば、きっと私たちのことを助けてくれる人だって見つかるよ!」
それから少し走ったところで、僕と姉さんは見つかってしまい…姉さんは殺されてしまった…。僕に刃が降りかかろうとしたその時、あの人が僕を助けてくれた…。
でも、その人は…あの、恐ろしい出来事を引き起こした張本人…。僕は、そんな奴のために、たくさんの人を傷つけてしまった…!そして、今『セカイ』を滅ぼそうとしている…。身体の奥がすんごく寒くて、『チカラ』があふれてきて苦しくて…。怖い…。
あれ?なんだか…あたたかい…。誰かが僕を抱きしめてる…。誰だろう…。姉さん…?
「クリム君…!良かった…。やっと起きてくれた!」
「リンゴ…?どうしたの…!?」
全身まばゆい黄金の光で輝いたリンゴが僕を抱きしめていた。でも、リンゴは体中、傷だらけで、制服もところどころ切れていてぼろぼろで…!
「えへへ。…目が覚めて、クリム君に近づこうとしたら、見えないバリアみたいなのに何度も跳ね返されちゃった。でも、やっとここまで来れたの!」
「リンゴ…!僕から離れて!僕の『絶望したチカラ』を受け続けたら、し、死んじゃうよ!」
「大丈夫。私、全身から『毒リンゴの毒』を出せるようになったの!この毒で、クリム君の『絶望したチカラ』を相殺させるの!」
「無茶だよ…!この『セカイ』を滅ぼすほどの『チカラ』なんだよ!リンゴ、頼むから、僕から離れて!僕はもう…これ以上、誰かを傷つけたくないんだ…!誰かが…死ぬところを見たくないんだ!!」
「…クリム君。私は死なないよ…。クリム君はもうひとりぼっちじゃないよ…。私はクリム君と一緒に新しい『セカイ』を作るんだもん!そして、その『セカイ』が壊されそうになったら…私が絶っ対守ってあげる!」
「リンゴ…!」
だめだ!リンゴの『毒』だけじゃこの『チカラ』を抑えきれない…!
「…俺も!クリムと新しい『セカイ』を作りたい!」
その声は、浅倉君!?
「杏君!?どうして…?」
「俺にもよくわかんないけど…クリムとリンゴ先輩に助太刀するぜ!」
浅倉君が僕たち2人に抱きつく!
僕たち3人からまばゆい光が溢れ出した…!




