リンゴVSクリーム2
私の前に机が飛び込んできた!や、やばい!
その時!
私の目の前で机が縦一文字に真っ二つになった!?そして、私の前に、藍色の長い髪を後ろで一つに束ねていて、中等部の青みの強い紺色の学生服を着たあの覚醒者。『「セカイを滅ぼす者」を滅ぼす者』さんが現れた!
「お前は!あの時の…。一度ならず二度までも…!僕の邪魔をして!」
「…ありがとう。『「セカイを滅ぼす者」を滅ぼす者』さん!」
「『セカイを滅ぼす者』は全て俺の敵だ!」
この人、それしか言えないのかな?
「お前ら二人まとめて、僕が倒してやる!」
クリム君が、また手をあげると、家具が飛んでくる!だけど、飛んできた家具を『「セカイを滅ぼす者」を滅ぼす者』さん改め、藍色の覚醒者が刀のような武器で斬り裂いていく!すごい!
「…君、何をしている?早く、変身して戦え!」
お!?初めて他のことしゃべった!
「あ、あの、私『怒り』が覚醒条件なんです!怒らないと変身できないんです…!」
「ちっ。ならば、後ろに下がっていろ!」
舌打ちされちゃった…。藍色の覚醒者は、次々に飛んでくる家具を斬り裂きながら、クリム君に斬り込んでいく!刀の刃があと少しでクリム君に届きそう!
「待って!その子を傷つけないで…!」
私は思わず、藍色の覚醒者に後ろから抱き着く!彼の動きが止まる。
「何をするんだ!?奴は敵だぞ!」
「その子は悪いやつに操られてるだけなの…!だから…。」
「それは違うよ、リンゴ。これは全て、僕の意志でやっていることだよ!」
藍色の覚醒者が私に身動きを止められている一瞬のすきをついてクリム君が椅子を彼に投げつけた!見事に命中し、藍色の覚醒者が倒れてしまった!彼は気を失ってしまった…。
「ごめんなさい…。私のせいで…!」
「さあ、次はリンゴ、お前の番だ!…これでもう本当にお別れだ。」
「…クリム君、私の話を聞いて…!」
「僕は、クリームだって言ってるだろう!『クリムのセカイ』はもう壊れたんだ…。」
「クリム君、私この前、言ったでしょ?『セカイが壊れちゃったなら、新しいセカイを作ればいい』って、クリム君ならきっと素敵な『セカイ』を作れるよ。」
「うるさい。お前に何がわかるんだよ!!」
その時、私の腕時計が鳴った!結界の中でも通信はできるんだ…。受信ボタンを押す。
『毒島さん、剣崎です。無事ですか!?』
「役立たずの『SAWDO(笑)』の先生方…。一応…無事です。」
『…本当にすみません。クリム君はそこにいますか?』
「はい。クリームになっちゃってるけど…。」
「誰と話しているんだ、リンゴ?」
『毒島さん、音量ボタンを上げてクリム君にも私の声が聞こえるようにしてください。』
音量を上げる。
『聞こえますか?クリム君、私は生物教師の剣崎です。私の話を聞いてください。』
「…何だよ?」
『クリム君、君の『セカイ』を壊すことになったあの出来事の引き金になった大統領夫妻暗殺の犯人は結局、何者なのか今だ解明されていませんが、その犯人を狂行に走らせたのは『セカイを滅ぼす者』です。クリム君、君は『セカイを滅ぼす者』に利用されているだけです!』
そんな、全部『セカイを滅ぼす者』が仕組んだことだったの…!?
「な!?何を言ってるんだよ…。あの人は、僕を助けてくれたんだ…!そんなこと…お前の言うことなんて僕は絶対信じない!…う、うわぁああああ…!」
突然、クリム君が苦しみ始めた!一瞬、クリム君の意識が途絶え、そしてまた、目を覚ましたクリム君は不敵な笑みを浮かべ話し始めた。
「…その通りです。あの虐殺事件は全て私が仕組んだことです。この『セカイ』を滅ぼすために…。はじめまして、毒島リンゴさん。私が『セカイを滅ぼす者』です。」
「あなたが、『セカイを滅ぼす者』…!?あなたが、あんな酷いことを…!」
「全ては、この『セカイ』を滅ぼすためです。それに、私は直接手を下したことはありません…。あの大統領夫妻暗殺の犯人の心の闇を少し引き出しただけです。それから、人間たちが勝手に殺し合いを始めただけです。」
「原因を作ったのは、あんたじゃない!それで、クリム君の家族や、罪のない多くの人たちがどれだけ犠牲になったと思ってるの…!そして、傷ついたクリム君の心を利用して…。」
私の中で『怒り』の炎が燃えはじめる…。
「それと、クリームはもうクリムに戻ることはできないでしょう。彼は完全に『覚醒』しようとしています。彼が『完全覚醒』すれば、この学園いや、この『セカイ』を滅ぼすことができます。」
「そんなこと…私がさせない!クリム君も学園のみんなも、『セカイ』も全部、私が…!」
ぷつん…。私の中で何かが切れる音。
そして、私の体が光始めた…!