クリムのセカイ3
もう、放課後かな…。学校、休んじゃった…。身体がだるい…。せっかく、浅倉君が誘ってくれたのに…。今日は、ものすごく調子が悪い…。寝ても、見るのはあの悪夢ばっかり…。ここは、どこなんだろう?僕の本当の家に帰りたい…。
誰かの声がする…。
「かわいそうな、クリム…。君の帰る場所はもうどこにもないよ。君の『セカイ』は壊れたんだ…。」
誰?『セカイ』が壊れた…?この声は…。あ!僕を助けてくれた人だ。あの日…あの地獄のような血の海の中から僕を救い出してくれた人!
「そうだよ…。私が君を壊れた『セカイ』から救ってあげたんだ。だから、今度は、君が私を助けて欲しい…。この『セカイ』を滅ぼすんだ…!」
『セカイ』を滅ぼす…?
「君の大切なものを全て奪ったこの『セカイ』を!」
そうだ…。この『セカイ』が僕の『セカイ』を壊したんだ…!許さない…!
僕は…『クリムのセカイ』は、もう壊れたんだ…!思い出した…。
「僕の名前はクリーム!僕を救ってくれた貴方のために『セカイ』を滅ぼす者!」
部屋のドアをたたく音がする。
「クリムー!具合どう?俺、杏だけど!お前と話したいんだ。中入ってもいい?」
僕が手をかざすと部屋のドアが開く。
「クリム…!?お前、なんだその姿…!?」
「僕は、クリーム。『セカイ』を滅ぼす者!まずはお前、浅倉杏の『セカイ』を壊してやる!」
―星屑学園地下『SAWDO』の秘密基地―
「…以上が彼の生い立ちです。彼は、この事件によりPTSD(心的外傷後ストレス障害)を患っています。事件のフラッシュバックなどに苦しんでいます。」
「クリム君のその…心の隙間に敵は入り込んだとしたら…。やっぱり、クリームはクリム君なんですか?」
「現段階では断言はできませんが…。とにかく、これから全員で彼を保護しに行きます。男子寮にも許可は得ています。」
「大変!剣崎君、男子寮から高エネルギー反応確認!」
「何だって!?」
きっと、クリームだ!じゃあ、クリームはクリム君だったんだ!!早く、助けてあげなくちゃ!