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セカイ防衛少女毒リンゴ  作者: 苺鈴
79/139

クリムのセカイ2

 次の日の昼休み。

「だから、そーじゃないって!もっと、脇をしめて!あーもう!下手くそ!」

 私、毒島リンゴ(14歳)は、なぜか浅倉杏君(10歳)にボールの投げ方の指導をしてもらっている…。てか杏君、言葉きつすぎ!そんなんじゃ、女の子に嫌われちゃうよ?

「リンゴ先輩下手すぎー!」

「ボールよけるのだけは神がかってるのにねー。」

「本当に中学生なのー?」

 ちょっと!他の子もうるさいよ!

「ボールの投げ方は、もういいから、クリム君のこと教えてよ!」

「…昨日さ、クリムも一緒に遊ぼうって誘ったんだけど、今日、あいつ具合悪いみたいで学校にも来てないんだよ。」

「そうなんだ…。クリム君を誘ってくれたんだ…。ありがとう、杏君は優しいね!」

「な!?(顔が赤くなる)…べ、別にお前のためじゃねーし、ブス!」

 やっぱり、むかつく…!この子にも賀東先生の爪の垢を煎じて(以下略)

「クリム君について知ってることなら何でもいいから話してくれない?」

「正直、クリムとはほとんど話したことないからな…。あいつ、自分から他人を避けてるっていうか…。先生が言ってたんだけど、クリムには家族がいないんだって…。なんでかは、わからないけど…。ごめん、リンゴ先輩、俺クリムのことそんだけしか知らない…。」

「ううん。教えてくれて、ありがとう!」

 クリム君には家族がいない…。学校でも友達がいない…。それじゃあ、いつもひとりぼっちってこと…?


 

 放課後、私は地下の秘密基地へ行く。お!今日は珍しく、先生全員揃ってる。

「毒島さん、クリム君の生い立ちがわかりました。」

「本当ですか!?」

 剣崎先生は、なんだか悲しそう…。部屋の空気も重い…。

「はい。それでは、クリム・D・カスター君の生い立ちについてお話ししましょう。彼は外見からもわかると思いますが日本人ではありません。彼の出身はとある小さな国です。その国では、主に2つの民族で構成されていました。仮にクリム君の民族をA、もう一つの民族をBとします。その二つの民族は争うことなく平和に共生していました。しかし、数年前に、この国の民族Bの大統領夫妻が何者かに暗殺され、激昂した民族Bの過激派達が大統領夫妻を暗殺したのは民族Aであると決めつけ、民族Aへの虐殺が勃発しました…。クリム君はこの虐殺事件の被害者です…。クリム君のご家族はみなこの虐殺により亡くなっています…。」

 そんな…。だってクリム君はまだ10歳だよ…。その事件があった時はもっと幼くて…。そんな子がこんな、こんな恐ろしい…経験を…。

「この事件の最も悲惨なところは、この2つの民族は、ずっと平和に暮らしてきたのです。ところが大統領夫妻暗殺により、今まで仲の良かった隣人や友人たちが民族が違うというだけで凄惨な殺し合いを行ったのです…。クリム君はその…地獄を見てきたのです…。」



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