クリームをさがせ1
『毒島リンゴさん…誠に申し訳ありませんでした!!』
次に日の放課後。星屑学園の地下にある『SAWDO』の秘密基地へ来た私は、部屋に入ると3人の先生が土下座して謝ってきた…。すんごく申し訳なさそうな顔の剣崎先生と上城先生、あと橘先生は棒読み…。
「…私、あやうくクリームに殺されかけてんですよっ!!サポートも何もないじゃないですかっ…。」
「それについては、本当に…おっしゃる通りです。美術室に結界がはられていて中に入れなかったんです…。クリームがこれだけ強大な『チカラ』を持っていたなんて、想定外でした…。」
なんのために、学園を閉鎖してまで敵に対抗するため準備してたんですか!
「まあ、無事だったから良かったじゃん…。終わりよければ、全て良し。」
橘先生、他人事ですね…。あと、タバコ吸うのやめてもらえます?
「リンゴちゃん、本当にごめんねっ!…それで、せめてものお詫びにこれを…。」
上城先生は、一枚の写真を私に渡した。
「こ、これは…!?」
それは、賀東先生が写った写真!うわぁああああー!!職員室の机でうたた寝してる賀東先生…。か、可愛い…!
「えへへへ。この学園、生徒を監視するために学園中に監視カメラがあるの、その中の奇跡の一枚だよ!賀東先生の写真ならこれだけじゃなくて、他にもいくらでもあるよ!」
「じゃあ、これって盗撮じゃないですか!」
「お固いこと言わないで!いらないなら、返してちょうだい。」
「いえ!これは、私の手で処分させていただきます!」
私は、写真を制服の胸ポケットに大事にしまった。
「そういえば、相川先生は今日もいないんですか?私まだ、会ったことないんですが?」
「上城先生、知っていますか?」
「ああー。相川ちゃんなら、昨日、福井県で新種の恐竜の化石が見つかったってニュース聞いて、今朝、福井県まで行っちゃったよ…。」
相川先生、自由すぎる…。授業はどうするんだろう…。
「さて、毒島さん。昨日、美術室で起こったことを話していただいてもいいですか?」
「あ、はい。」
私は、昨日の美術室で起こったことを説明した。
「だから、クリームはきっと本当は『セカイ』を滅ぼしたくないんじゃないかなぁって私は思うんです…。それから、覚醒者の生徒もやっぱり、特定できないんですか?」
「そうですね…。この学園で初めて闇落ちしかけた生徒は、当時、精神的に不安定な状態でした。『セカイを滅ぼす者』は、人の心の隙間を狙って相手を取り込もうとしているのかもしれません。クリームも何か精神的に不安定な生徒の可能性はあります。…藍色の髪の覚醒者についてですが。彼は、一年前にこの学園を再開してから初めて生まれた覚醒者です。」
「そうだったんですか!てか、何で教えてくれなかったんですか?そして、彼は誰なんですか?」
「それは、私達にも彼の正体はわからないんです…。彼は神出鬼没で、人知れず『セカイ』を守っているようなのです。学生服もデータベースに登録されていないものなので、もしかするとこの学園の生徒ではないかもしれなせんし、コンピューターが修復しても、特定はできないでしょう…。」
「そんなぁ…。でも、敵じゃないんですよね?」
「『セカイを滅ぼす者』を滅ぼす者って名乗ってんだから、私達と目的は一緒でしょ?…橘はどう思う?あと、いい加減タバコ吸うのやめなさいよ!」
「…俺は『セカイ』が滅んでも、タバコをやめる気はないからな。」
そうですか…。『セカイ』が滅ぶ前に先生の心肺が滅びそうですね。
「とにかく、今はクリームがどの生徒なのか特定し、変身する前に保護すること。これが最優先事項です。」