藍色の覚醒者
私の足元に、ナイフが落ちていた。
そして、目に前には後ろ姿しか見えないけど、藍色の長い髪を後ろで一つに束ねていて、中等部の青みの強い紺色の学生服を着た男の子が立っていた!首には黒いマフラー?ターバン?みたいなものを巻いていて先の方が重力に逆らって上向きに立っていた…。手には刀みたいな武器を持っている。
「お前!いったい、何者だ…?どうやって僕の魔法を解いたんだ!?」
「『セカイを滅ぼす者』を滅ぼす者だ…。」
そのまんまですか…?声は聞いたことない声だな…。でも、外側からこの教室に入れないってことは…。ま、まさか…覚醒したのはもも?…では、ないみたい。ももは私の後ろでまだ気を失ってる…。
「『セカイを滅ぼす者』は全て俺の敵だ…!」
その藍色の髪の覚醒者は、クリームに切りかかっていった!すかさず避けるクリーム。
「…今日はもう帰る。僕の敵になるなら誰だって容赦しないよ!」
クリームは、消えてしまった…。すると、『くまりんず』のイベントの時のように道具が散乱していた美術室は、元の美術室に戻り、切り裂かれたももの絵も元に戻っていた。
藍色の髪の覚醒者がこちらを振り返った。ターバン?のせいで顔が鼻から上にか見えないけど、髪の毛の色と同じ藍色の目をしていて、線の通った鼻から、かなり素敵なお顔立ちであることが推測できる。
「あ、あの。さっきは、助けてくれてありがとうございます。あなたは、誰なんですか?」
「『セカイを滅ぼす者』を滅ぼす者…。」
いや、それはさっき聞きました…。
「それじゃあ、私達、仲間ですよね!私、中等部2年2組の毒島リンゴです。あなたも、中等部ですか?」
その時!私の鳩尾に彼の拳が叩き込まれた…。意識が遠のいていく…。
目を覚ますと、そこは…ベットの上だった…。消毒液のにおいがする…。保健室かな。布団から出てみると私は元の姿に戻っていた。隣のベットには、ももが寝ている。あ、起きた!
「ふぁああ…。良く寝た…。あれ、ここどこ?私、美術室にいなかったけ…?」
「もも…。無事で良かったぁ…。」
「あれ?リンゴ、何泣いてるのー!」
「うわーん。ももが無事で本当に良かったよぉおお…。」
「…何が何だかさっぱりなんだけど…?」
ベットの横のカーテンが開く。
「二人とも、目は覚めましたか?」
『賀東先生!』
「二人とも美術室で気を失って倒れていたんですよ…。いったい何があったんですか?」
「さあ…?(『セカイを滅ぼす者』と戦っていたって言うわけにもいかないよね。)」
「こっちが聞きたいくらいです!あ、先生あの…昼休みのことなんですけど…私の絵、どこがいけなかったんですか…?先生、逃げるように出て行っちゃったから…。」
「それについてですが…。…ももさん、君の描いたあの『紫苑』は本当に良く描けていて素晴らしい作品です。しかし、僕は、自分の紫色の瞳が嫌いなんです…。だから、紫色を見ると気が動転してしまって、ももさんを傷つけてしまって…本当にすみませんでした。」
「そうだったんですか…!私の方こそすみません。賀東先生が紫色が嫌いなんて知らなかったので…。そういえば、賀東先生、さっき…私のこと、『もも』って呼んでくれましたよね!?」
「はい、ももさん。下の名前で呼ばれるのは嫌ですか…?」
「いえいえ!!…もう一回、呼んでください!」
「ももさん。」
「賀東先生が…私の名前を呼んでくれたっ…。どうしよう、嬉しすぎて死にそう…。」
ももが、ベットに倒れこむ。
「大丈夫ですか?ももさん。」
「うわああああ…。賀東先生、私を悶え殺す気ですかっ…!」
「ほら、賀東先生。もも、すごく喜んでるでしょう?」
「ははは。リンゴさんの言った通りでしたね。」
ベットに倒れこむ私。
「大丈夫ですか?リンゴさん。」
なんという破壊力…!
「なるほど。リンゴの入れ知恵だったんですね…。ありがとう、リンゴ。」
この日から賀東先生が生徒を下の名前で呼んでくれるようになり、名前を呼ばれた生徒が悶絶してしまう現象が学園内各所でみられたそうです。




