私の大切な友達
「また、あの光か!」
光が止み、一人の少女が現れた…!
白地に赤襟のセーラー服。光輝く黄金の髪と瞳。胸元の大きな真っ赤なリボン。手には白地に赤いラインの入った指ぬきグローブ。足元には赤い靴。そして、なぜか頭に赤い金魚のヒレのようなリボン。背中には金魚の背ビレのようなリボン。おしりには金魚の尾ビレのようなリボンがはためいている!
「私の名前は毒島リンゴ…!ももの『セカイ』は壊させない!私が絶対に守る!!」
「今日の私は阿修羅すら凌駕する存在よ!クリーム、私はあんたを許さない…!私の大切な友達を傷つけたあんたを…!」
「ふん…。たかが一枚の紙切れで…なんなんだよ。まあ、遊んでやるからかかってこいよ。毒リンゴ!!」
そうよ。もっと私を煽りなさい…。怒れば、怒るほど私は強くなるから!!
クリームは美術室全体にあのビームを放った。物に命を宿す魔法。美術室中の道具達が私の敵になる!部屋中から私を目がけて何本ものエンピツや筆や、ナイフや名前のわかんない道具が矢のように飛んでくる!
だけど、私は『毒リンゴの拳』を連続で繰り出して、毒に触れた道具達は、クリームの魔法が解けてただの道具へ戻る!部屋中の道具がなくなったら、クリームの顔面に直接、私の『毒リンゴの拳』を叩き込んでやる!!
「クリーム!こんなしょぼい攻撃じゃ、私の『毒リンゴの拳』には勝てないよ?道具がなくなったら、あんたの負けよ。こんな道具に頼ってないで自分で直接、戦いなさいよ!」
「くっ…。たしかにこのままじゃ勝てない…!」
「さぁ!観念しなさい!!」
「そうだ!なら…こうすればいいよね!」
私に向かってきた道具達が向きを変えた!?そして、道具達は、床の上に倒れているももの方へ!
「そうはさせない!」
私はももの前に立ちはだかって、道具達に再び、『毒の拳』を繰り出す。が、ももを庇いながら戦うのは難しく、私の足元に防ぎきれなかった道具が当たり、バランスを崩し倒れこむ私…!
「今だ!リンゴに一斉攻撃だ!」
私は、床に倒れこんでいたももを抱き起し、背中で飛んでくる道具達を受け止める…!『毒リンゴの毒』は拳からしかでないみたいで、クリームの魔法を解くことができず、道具達が容赦なく私の背中に当たってくる!…なんだか小学生の時にいじめっ子から道具を投げつけられてきたことを思い出すな…。
「痛いっ!痛いっ…!いたっ…!痛いっ…。」
けど、ももは絶対守るんだ…!だって、ももは私の初めてできた友達なんだもん。ももに出会うまで私はずっとひとりぼっちだった…。叔母さんはちっとも家に帰ってきてくれないし…。学校ではいじめられなくなっても、『毒リンゴの噂』のせいで友達一人もできなくて…。10分休みがとても長くて…。昼休みは教室で一人でお昼を食べて…。家に帰ってきてもひとりで…。
でも、今は違う…。いつも隣にももがいてくれる…!ももを失うよりつらいことなんて今の私には考えられないもん…!
それに、飛んでくる道具にだんだん勢いがなくなってきてる。カッターナイフとか一撃で致命傷になるようなものは、私の横をすり抜けていくのは、クリームにためらいがあるからじゃないかな?クリームは自分の意志で『セカイ』を滅ぼそうとしているわけじゃないんじゃないかな…?『さるお方』に無理やりこんなことをやらされてるとしたら、クリームだって被害者だよね…。
「ねえ、くりーむ。痛いっ…!あんた、本当はこんなことしたくないんじゃないの?痛いっ…。」
「な、何言ってんだよ!」
「だったら。痛いっ…。なんで私に止めを刺さないの?…痛いっ。」
「そ、それは…。違う!僕は…『さるお方』のために『セカイ』を滅ぼす!」
「本当にそれが、あんたの本心なの?…痛いっ!」
「そんなに…止めを刺して欲しいなら、お望み通りにしてやるよ…。今、ナイフでお前の心臓を貫いてやる!!」




