ももとクリーム2
「お前に…。お前に何がわかるんだよ…。」
クリーム君は私を睨みつけた。体が少し震えていて今にも泣きだしそうで…泣くのをぐっとこらえていて。なんだか、ちょっと可哀想になってきた…。「友達できたことないの?」はちょっと言い過ぎたかな…?
「僕にだって友達は、いたさ…。でも、みんな…もう、誰もいない…。友達も家族も…何もかも…。だから…こんな『セカイ』なんて…。こんな『セカイ』なんて滅んだって構いやしないのさ…!」
クリーム君が片方の手のひらを前に差し出した。すると、美術室の壁に飾ってある部員の作品の中の一枚が私の目の前に飛んできた!わあっ絵が宙に浮いてる!どうなってるの?何これ手品かなにか?…あれ、これって私が美術部に入部して初めて描いた『金魚』の絵…。私と賀東先生との思い出の絵…。
「まずは、お前の…藤林ももの『セカイ』を壊してやる!」
クリーム君がまた手を動かすと、今度は机の上にあるカッターナイフが宙に浮かんできた…。まさか…!
「お願い…やめて…!その絵は、私にとってとても大切なものなの…!だから…!」
やっと、美術室が見えてきた!あともう少し。頑張れ私、毒島リンゴ!ふぅー、やっと着いた…。
美術室の扉を開けて中に入る。
「久しぶり、毒島リンゴ!…僕のこと覚えてる?」
「クリーム!あんた、この学園の生徒なんでしょ?本当の名前を教えなさいよ!ってそんなことより、ももは!?」
私は美術室中を見回す。
「もも…!」
ももは、床に倒れこんでいた。でも、怪我はしてないみたい…良かったぁ…。あれ?ももの周りに落ちているこの紙屑は何だろう…?なんか、この色合いどこかで見たことあるような…。
「これって、まさか…。ももの描いた『金魚』の絵…?」
「そうだよ。こいつの目の前で僕が切り刻んでやったのさ!」
クリームは笑いながら言った。
「…許さない。絶対、許さないよ、クリーム…。」
ぷつん…。私の中で何かが切れる音。
そして、私の体が光始めた…!