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セカイ防衛少女毒リンゴ  作者: 苺鈴
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賀東先生の瞳1

 そして、次の日の昼休み。ももは、朝から頭の中がきっと賀東先生に超大作を見せることでいっぱいらしく物理の授業で橘先生に嫌味言われても総スルー(いつもなら犬みたいにキャンキャンつっかかるのに)で橘先生も驚いてた。

 美術室で賀東先生を待つ私ともも。私は、今朝もう完成したももの超大作『紫苑』を見せてもらっていた。はじめて見せてもらった時よりも、もっと細部まで描かれていて、超大作というだけあって圧倒的な完成度を誇っていた!これ見たらきっと、賀東先生、驚くだろうな…。

「賀東先生、遅いね…。もも?」

「…へ?あ、あれ…なんか言った?ははは…ごめん、ぼーっとしちゃって…。うわぁ…緊張する…。」

 こんなに動揺してるもも見るの初めてかも…。大丈夫かな?


 美術室の扉が開く。

「すみません。お待たせしました。」

 賀東先生登場!もも、がんばれ!

「賀東先生!遅いから、待ちくたびれちゃったよ!ねぇ、リンゴ!」

 良かった…。いつものももに戻った。

「それでは、見せてもらってもいいですか?藤林さんの超大作を…。」

 ももが、キャンバスにかかっている白い布に手をかけた。緊張しているのか手が少し震えてる…。

そして白い布をゆっくりと取り払った…!

「じゃじゃじゃぁーん!これが私の超大作『紫苑』です!私の賀東先生への全ての愛をこめました!!」

 紫色の紫苑の花がキャンバスいっぱいに描かれた絵…。わぁ、何度見ても本当に綺麗…!賀東先生、どんな顔して見てるかな?私は、賀東先生の方を見ると…。


「し、紫苑…。」

 

 そこには、顔面蒼白で、何かに怯えているように動揺する賀東先生の横顔が見えた…!…え!?

「が、賀東先生…!どこか気分でも悪いんですか…?」

「賀東先生…!どうしたんですか?」

 賀東先生は、私たちの声に気づいたのか我に返ったようにこちらを振り向いた。賀東先生、本当にどうしちゃったの!?…賀東先生は私達と目を合わせずに言った。

「…藤林さん。…よく描けてますね。あんまりにも…良く出来ていたので…びっくりしました…。二人とも心配かけてごめんね…。それじゃあ、また放課後…。」

 賀東先生は逃げるように美術室を飛び出して行ってしまった…。残された私ともも…。ももは、下を向いてうつむいたまま、その場に立ち尽くしていた…。

「賀東先生、どこか具合悪かったのかな…?ああ!ももの超大作がすご過ぎて思考停止しちゃったのかな?なんて…。あはは…。」

「…リンゴ。…ごめん。ちょっと一人にしてもらってもいい…?」

 ももの体は小さく震えていた…。賀東先生のために、毎日遅くまで学校残って一所懸命描いてたのに…。あんな反応されたら…そりゃショックだよね…。

「…うん。先に、教室戻ってるね…。」

 私は、一人で美術室を出た…。


 賀東先生、本当にどうしちゃったんだろ…。お花嫌いだったのかな…?5限目までまだ時間あるし、ちょっと、賀東先生を探してみよう。このままじゃ、ももが可哀想だもん…!


 ももは、私の初めてできた友達だから…。

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