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セカイ防衛少女毒リンゴ  作者: 苺鈴
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リンゴと生物室

 今日は月曜日。昨日のあの男の子『クリーム』は、いったい何者なんだろう…。『セカイを滅ぼす者』って言ってたけど…。それに…なんか私、変身しちゃったし!本当にわけがわからないよ…。

 しかも、生物の剣崎椿(けんざきつばき)先生になぜか放課後、生物室に来るように言われてるし…。

「ねえ。もも、剣崎先生ってどういう先生?」

「うーん。1年の1学期に剣崎先生の授業受けたけど…。あんまり覚えてないや。ホントに地味な先生だったから…。悪い先生じゃないよ!でも、なんで、リンゴに用があるのかな?」

「さあ…。賀東先生が言うには、前の学校でどこまで習ったのか確認したいから個人的に呼び出したんじゃないかって。でも、他の教科の先生はそんなことしなかったし…。なんでだろ?」


 

 そして、放課後。生物室に向かう。

 私、理科室(生物室も似たようなものだよね)って苦手なんだよね…。小学生の頃、いじめっ子に理科室によく閉じ込められたから…。理科室ってカエルのホルマリン漬けとか、人体模型とか…気持ち悪いものがいっぱいあるし…。薬品の変なにおいがするし…。はぁ…。お!ここが生物室か…。

「失礼しまーす。」

 …誰もいない?とりあえず、部屋の中を散策する。部屋の中は前の学校とあんまり変わんないな…。先生、はやく来ないかな?

 あれ?部屋の一番奥に扉がある。何であんなところに扉があるんだろ…?生物室は、3階の一番端っこにあるから、その隣に部屋はないはずだし…。

 私は、扉に手をかけた。その時!扉がいきなり開き、私の体が吸い込まれていく!?

「うわぁああああああー!」

 私の体が暗闇の中を真っ逆さまに落ちていく!まるで『不思議の国のアリス』の物語のはじまりみたいに。ウサギを追いかけて穴に落ちたアリスが真っ逆さまに落ちていく…。私の意識が消えていく…。



 目が覚めると、私はどこかの部屋(生物室じゃないみたい)にいて、椅子に座っていて…テーブルの向かいには、ウサギではなく…

「はじめまして、毒島リンゴさん。生物教師の剣崎椿です。」

「…こちらこそ、はじめまして。毒島リンゴです…。」

 剣崎椿先生は、30代くらいの男性で、黒髪の地味な短髪で地味な黒縁メガネ、服装はスーツの上に白衣を着ている。絵に描いたような理科の先生って感じ。ももの言ってた通り本当に地味な先生…。

「突然、呼び出してしまってすまなかったね。さっきの扉もびっくりしたでしょ?」

「は、はい…。あの、何が何だかさっぱりわからないんですけど…。とりあえず…ここは、どこですか?」

「ここは、星屑学園の地下にある『私達』の秘密基地です。」

「私達って…?」

「星屑学園で『セカイ』を滅ぼそうとしている者たちから『セカイ』を防衛するために結成された組織、『SAWDO』のことです。」

「…はい?」

「Sは『Stardust(星屑)』、Aは『Academy(学園)』、Wは『 World(世界)』、Dは『Defense(防衛) 』、Oは『Organization(組織)』で略して『SAWDO(ソード)』です!」

 剣崎先生は真顔で言っている。

「そ、そうですか…。」

 何、言ってんだこの人…?『セカイ』を防衛…?

突然、私は昨日のクリームの言った言葉が頭をよぎった。

『さるお方のためにセカイを滅ぼす者。』

確かクリームは、そう言っていた。クリームが『セカイ』を滅ぼす者…。じゃあ、『さるお方』っていったい誰のこと…?

「…毒島さん、何か思い当たることがあるようですね?君は、昨日の午後どこにいましたか?」

「昨日は、都内某ショッピングセンターにいましたが…?」

「そこで、君は何を見たんだい?そして君の身に何が起こったんだい?」

 この人…全て知ってるんだ!昨日、あったこと…。知っていて私に聞いてる…!どうして?

「そ、それは…。私にもよくわからなくて…。」

「毒島リンゴさん、貴方は昨日あの場所で『覚醒』したんだよ。君の中に眠っていた『チカラ』が…。どうか、私達に協力してくれないかな?」



 


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