リンゴ覚醒2
「な!?何の光…!?」
光が止み、一人の少女が現れた…!
白地に赤襟のセーラー服。光輝く黄金の髪と瞳。胸元には大きな真っ赤なリボン。手には白地に赤いラインの入った指ぬきグローブ。足元には赤い靴。そして、なぜか頭に赤いくま耳、おしりに尻尾!
「私の名前は毒島リンゴ…!みんなの『くまりんず』の『セカイ』は壊させない!私が絶対に守る!!」
って、私どーなちゃったの!?な、なんで変身?的なことしちゃってるの!?もう、わけがわからないよ。
「毒島リンゴ…。…お前たち!リンゴを倒せ!!」
会場中を暴れまわっていた『くまりんず(7匹)』が私を目がけて集まってきた!ええええー!?ちょっと、まってよぉおおおおー!『くまりんず』が私を追いかけてくる!(何かちょっとうれしい…)とにかくひたすら逃げ続ける私。外見変わっても、中身は普通の中学生、毒島リンゴのままなんです!!あれ?でもこれだけ走り続けてるのに全然疲れないや…。
その時!目の前に『くまりんぴんく』が飛び込んできた!先回りされたんだどうしよう…!ああー。『くまりんず』とは戦いたくないけどこうなったら、やるしかない!
「痛かったらごめんねっ…。くまりんぴんくっ!」
私は、右ストレートを『くまりんぴんく』の右頬めがけて打ち込んだ!ああ…。心が痛む…。
でも、『くまりんぴんく』はふわふわしていて私の拳はダメージを与えられなかった!良かった…。ってほっとしちゃだめでしょ私!
わあぁ!?『くまりんず』が一斉に私に群がってきた!…ふわふわだぁ…幸せ…。って重い!このまま私を押しつぶす気だ!どうしよう…。
「なーんだ。見かけ倒しか…。お前ら、さっさと倒しちゃってよ!」
な!む、むかつくぅー!!だいたい、この子生意気なんだよね!くっそぉおお…!こうなりゃやけよ!
私は右手で強く握り拳をつくると、一番手前にいる『くまりんぶるー』に打ち込んだ(ごめんね)!ふわふわしてるから、やはりダメージを与えられない…。でも、このまま何もしないで潰されて終わるのは、なんかやだ!最後の悪あがきよっ!次に『くまりんいえろー』に、その次は『くまりんぐりーん』その次は…!
「かっこ悪い…。早く潰されちまえよ。」
そして、『くまりんず』全員に拳を打ち込んだ…!でも、状況は変わらない…。当たり前か…。だめだ…さすがに、もう力がでないや…。まさか『くまりんず』に潰されて死ぬことになるなんて…。ああ…体が軽くなってきた…私、死ぬんだ…。
なんだか、私の体の上にいる『くまりんず』も軽くなって…。うん?軽くなって…。軽い!というか、『くまりんず』がただの着ぐるみに戻ってる!?
「…な、なんで!?どうやって、僕の魔法を解いたんだ!?」
「ふふふ。何だかよくわかんないけど。次は、君の番だよ、クリーム!さぁ、覚悟しなさい!」
「くっ…。今日の所はこのくらいにしといてやる!」
アニメの悪役みたいな捨て台詞を吐いてクリームは消えてしまった!
「あああー!こら!逃げたな…。」
クリームが消えると、壊れてめちゃくちゃだった会場が元通りになり、会場にいた人たちも意識を取り戻した。そして、私の変身?も解けた…。いったい、何だったんだろう…?さっきまでの出来事は、全部、夢だったのかな…?
―そのころ星屑学園のある部屋―
「剣崎先生、本日午後2時22分22秒に都内某ショッピングセンター、イベント広場にて二つの高エネルギー反応が確認されました。」
「そうですか…。ついに、覚醒がはじまったようですね…。覚醒者は特定できましたか?」
「はい。1名は中等部2年2組の毒島リンゴで間違いありません。もう1名は特定できませんでした…。」