熊野ベア子のセカイ
「会場にお集まりの皆さん。どーも、はじめまして熊野ベア子です!今日はこのイベントに足を運んでいただきありがとうございます。」
この人が熊野ベア子先生か…。熊野先生はおかっぱ頭で、くま耳がついたベレー帽をかぶり、服装は『くまりんず』のTシャツ(私も持ってる!)に茶色のチノパン。年齢は、30代くらいかな…。
「『くまりんず』は私の夢をいっぱいつめこんだ作品です。主人公のミミのモデルは…実は私自身なんです。父の仕事の都合で転校が多かった私は、人見知りで転校先でなかなか友達が作れず、孤独な少女時代を過ごしました…。それで、当時を思い出して、『くまりんず』のような素敵な妖精が友達作りを手伝ってくれたらどんなに楽しいだろうと思ってこの作品を描き始めました。また、私のように友達作りに悩んでいる子ども達の手助けになったらいいなと…。『くまりんず』は私にとってかけがえのないセカイです!そんな『くまりんず』のことを愛してくれて、みなさん本当にありがとうございます!」
『くまりんず』には、そんな願いが込められていたんだ…!『くまりんず』のアニメが始まったのは私が4歳の時、お父さんとお母さんが亡くなってからすぐ、毎日つらくて泣いてばかりいた頃…。叔母さんは仕事が忙しくて、家にはほとんど帰ってこなかったから…私はいつもひとりぼっちだった。私の所にも『くまりんず』が来てくれたらいいのに!っていつも思ってたな…。
『くまりんずショー』を観ていた子ども達の目、きらきらしていて、すっごく綺麗だったな…。あ!あの女の子『くまりんれっど』のぬいぐるみ(私も持ってる!)抱えて笑ってる。
「ママ!わたし、『くまりんず』かわいくて、おもしろくて、やさしくて、だいすきっ!」
「ふふふ。きっと、良い子にしてれば理香のところにも来てくれるかもね?」
「ほんとぉ!?じゃあ、りか、おうちかえったらママのおてつだい、いーーっぱいするね!」
―『くまりんず』のイベント会場を見つめるひとりの少年ー
「…フンっ。くだらない…。この『セカイ』はこれから滅ぼされるのに…。そうだ!先にアイツらの『セカイ』を壊してやるっ!!」




