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セカイ防衛少女毒リンゴ  作者: 苺鈴
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リンゴの見た夢

 その夜、私は不思議な夢を見た…。


 ここは、どこだろう?何だか体が軽くなった気がする。てか、私の体自体が小さくなったみたい…!水色の園児服を着てるってことは私…幼稚園児にもどちゃったの!?

 この頃のことは、あんまり思い出したくない…。だって、自分の名前を人生で初めてからかわれはじめて、そして…大好きだった父さんと母さんが…。


「やーい。おまえのみょうじ『ブスジマ』だって!だからこいつブスなんだ!ブスのブスジマ!!」

「ブスジマのブスってドクっていうじなんだって、ドクリンゴー!ドクリンゴ―!」

「ブスジマのブース!」

「ドクリンゴー!ドクリンゴ―!」

 男の子たちに名前をからかわれて泣いているだけの私…。

いやだ…。思い出したくない…。

 

「やめなよ!リンゴちゃんをいじめるなー!」

 

 この子は…誰だっけ?そうだ…いじめられてた時、いつも助けてくれた子…。

あれ?顔も名前も思い出せない…。どうして…?


「リンゴちゃん、なかないで。リンゴちゃんは、ブスなんかじゃないよ。ぼく、リンゴちゃんのこと…。」

 

 そうだ、あの事故のあった日…あの子と一緒に外で遊んでたんだ。だから、私は助かったんだ…。

あの子は誰だったんだろう…。だめだ…何も思い出せない…!



「…リンゴ、リンゴ!」

 あれ、誰かが私の名前を呼んでいる…?この声は…。

「リンゴ!大変!早く起きて、遅刻しちゃうよー!」

 ももだ…。

「遅刻…?え?えええー!?今何時?」

「時計見る時間もないよ!早く急いで支度して!」

「どうして起こしてくれなかったの?」

「私も寝坊して、さっき起きたばっかりなの!ああー!リンゴを登校初日から遅刻させたら私、賀東先生に合わす顔がないよぉー(泣)。」


 急いで寮を飛び出した、私ともも!とにかく猛ダッシュ!廊下を駆け抜け、階段を1段ぬかしで飛び越えていく。2年2組の教室が見えてきた!チャイムはまだ鳴ってない!滑り込みセーフ!!

 あれ、教室に誰もいないよ?

「もも…、これどういうこと?」

「…ああ!今日、体育館で朝の全校集会の日だった…。」

キーンコーン、カーンコーン。無情にもチャイムが鳴る…。


 このあと、私とももが申し訳なさそうに、こっそりと体育館の裏口から入っていく様子を賀東先生とクラスのみんなが苦笑いで見つめていたのは言うまでもない…。これが、私、毒島リンゴの記念すべき星屑学園の登校初日の出来事である。この、朝の騒ぎのせいで私は昨日の夜見たあの不思議な夢についてすっかり忘れてしまっていた…。


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