胡桃姉弟
苺鈴です。
今回はタイトル通りあの姉弟のお話になります。
毒島リンゴに殴られ呪われた、ワイ胡桃城太郎は苦しんでいた。ワイの受けた呪いは、アイツ、毒島リンゴが寝ても覚めても、ワイの頭ん中に現れるんや。アイツのことばっかり考えてしまうんやー!!しかもなんか胸の奥がズキズキ痛むし…。怖すぎるやろ?しかも、この呪いを解くためには…ためには…その、あ、アイツと…き、き、キス…しなければあかんのや…。
覚悟を決めて、今朝、キ…キスするためにアイツのおる教室で待ち伏せとったのに、おらんのやアイツ、まさかの転校してもうたんや!転校先もわからんし、いったいどないしたらいいんや…。そんで、結局今日も学校さぼって公園のベンチで昼寝中やったんけど、あああー。やっぱりアイツがでてきよる。目を閉じると、アイツの、ワイを殴った時のあの顔が浮かんできよる…。はぁ…。
ピピピピピ…。ピピピピピ…。ワイのケータイがなっとる。誰やこんな時間に?普通の学生なら今頃学校で勉学に勤しんどる時間や。こんな時間にかけてもでえへんやろ…。ワイはかけてきた相手を確かめずに電話にでた。
「もしもし?誰や?」
『ひさしぶりやね、城太郎。こんな時間に電話に出られるってことは、あんたまた学校さぼっとるんやろ?』
電話をかけてきた相手はワイの6歳年上の姉の瑞城やった。現在アメリカの大学に留学中。
「あ、あ、姉貴!?突然どうしたんや?な、なんでいっつもこっちから電話かけてもでえへんのや!」
『日本とアメリカじゃ時差があるんよ。あんたのかける時間が悪いんや。それより、東京の学校はもう慣れた?なんか悩み事があるなら相談にのるよ?こっちじゃ四六時中、英語やからあんたの関西弁がすごく落ち着くんや。』
「…。姉貴は何か忘れたいことがあったらどないする?」
『忘れたいこと…?何か嫌なことでもあったの?母さんと、父さんの言うことはあんまり気にせん方がええよ。二人やってあんたのことが心配やからいろいろ言うんやと思うけど…。』
「ちゃう、ちゃう。親父達は完全にワイのことなんか見捨てとる。こっちきてから、一度も会ってないし。電話もない。」
『…そう。じゃあ、忘れたいことって何なん?』
「その、ある女の子のことが忘れられんのや…。四六時中ワイの頭ん中に現れるんよ…。胸の奥もなんやずっとズキズキしてるし、動悸も早い気する…。」
『…。ぷっ…。ふぅ、ふふふふ。ふふふ、あはははははっ!』
「な、何、笑っとんねん!こっちは真剣に悩んどんのに…!」
『あははは…。ごめん、ごめん。だって、城太郎、あんたその女の子のこと好…(まてよ、このまま勘違いさせといたほうがおもろそうやな。学校さぼった罰や。)』
「す?なんや?」
『何でもない。そうやね、何か好きなことをして夢中になってれば忘れられるんやないの?』
「ワイの好きなこと…。うーん。何もないわ。」
『えぇ…!?なんかあるやろ?』
「…。だめや、思いつかん。」
『…そんなら、逆に嫌いなことは?』
「勉強!」
『即答かいっ!じゃあ、その勉強をしてみればいいんやないの?』
「いやや。」
『その女の子のこと忘れたいんやろ?』
「…。わかった。もう、こうなりゃやけや!数学でも、英語でもなんでもやってやらぁ!」
『よし、その意気や。ほな、頑張りや。』
「…姉貴、おおきに。」
ピ。ワイは電話をきって、学校にむかった。今から行けば5限の授業には間に合うやろか…。
―ところ変わってアメリカの瑞城―
はぁ…。城太郎も恋するお年頃になったんやなぁ…。なんか、さみしいような、うれしいような…。私んこと大好きやった城太郎が惚れた女の子っていったいどんな子やろなぁ?




