リンゴと新しいクラスメイト
そして、また職員室の扉が開いた。
「失礼しまーす。あー、やっと見つけた。賀東先生!顔に絵の具がついたまま急に部室から飛び出してっちゃうんだもん。ほら、ハンカチ濡らしてきたよ。」
やってきたのは、私と同い年くらいの女の子。明るい髪色で、後ろに一本の三つ編み。何本ものピンで前髪をとめておデコ丸出しになっているせいかすごく幼く見える。制服の上から絵の具まみれの白いエプロンを着ている。美術部の子かな?
「ありがとう、藤林さん。」
「もぅ、先生の超絶美形な顔が台無しだよ!あ、でも絵の具が付いてるの気づかないおちゃめな先生も私好きです!あれ?この子は誰?」
先生のこと大好きなんだなこの子…。でも、気持ちはすごくわかる。
「ああ。紹介するね。こちらは編入生の毒島リンゴさん。2年2組の新しいクラスメイトだよ。毒島さん、この子は、」
「藤林ももです!ちなみに、美術部部長で、賀東先生の婚約者です!」
えーっ!?嘘でしょ…。ショック…。
「毒島さん、最後のは冗談なので気にせず聞き流してください。藤林さんは君と同じ2年2組だよ。」
「先生、私は本気です(キリッ)!」
先生、笑顔でスルー。
「あ、あの。はじめまして、毒島リンゴです。よろしくお願いします…。」
「あはは。タメなんだし、そんなにかしこまらなくていいよ!こちらこそよろしくね、リンゴちゃん!」
うわぁ…!叔母さん以外の人に下の名前でよばれたの幼稚園以来かもしれない…。どうしよう、すごくうれしい…。
「そーだ!私の超大作がもうすぐ完成しそうなの!賀東先生への愛を表現した超大作が!良かったら部室に見に来ない?」
「え?ええとその…。」
「行って来なさいよ。リンゴちゃん、あとは私が賀東先生と二人きりでお話しさせてもらうから。」
叔母さん、あなたも賀東先生狙いかっ!確かに叔母さん独身だし…。てか、飛行機の時間大丈夫なの?
「ちょっと、リンゴちゃんのおばさん!賀東先生は私のものですからね!先生に勝手にちょっかいださないでくださいねっ。よし、行こう!リンゴちゃん。ついでに校舎内も案内してあげる!」




