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セカイ防衛少女毒リンゴ  作者: 苺鈴
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琳華とお盆休み

 8月中旬。お盆休み。

「琳華さん。今日もありがとうございます。」

「どういたしまして。リンゴがいない間は、私が賀東先生のお手伝いをするって、リンゴと約束したんですもの!」

 私、琳華は中庭で賀東先生のお仕事のお手伝い中です。

 お盆までには退院できる予定だった用務員さん、怪我は完治したけど、入院中に検査を受けたら初期のガンが見つかってその治療で入院が長引いてるの。でも、早期発見できたから、命に別状はなくて本当に良かった…。

「リンゴさん、セカイ君にもう会えましたかね…。」

「ええ、今頃二人で青春してるんじゃないでしょうか?」

「そうですね…。」

「賀東先生、リンゴがいなくてさみしいんですか?」

「夏休み中、毎日会ってましたからね…。」

「先生、今は私がいますよ!」

「あはは。そうですね、琳華さんが手伝ってくれて本当に助かります!」

「先生、今日こそ先生の初恋を教えてください!」

「なんでそうなるんですか…。リンゴさんだけだけでなく、君まで…。そんなに知りたいんですか?」

「はい!賀東先生の青春を知りたいです!」

「僕の青春って…。」

「だって、賀東先生みたいな素敵な方なら…もう経験豊富ですよね!」

「琳華さん…。僕は…。」


 賀東先生が何か言いかけた時…。

 一人の中等部の夏服姿の女子生徒が中庭にやって来た。そこへ、女の子と同い年くらいの制服姿の男子生徒がその子を追いかけて来た…!

「ひとみ、待てよ!」

 男の子が女の子の腕を掴む。

「達也、離してよ…!」

「なんで、突然、別れるなんて言うんだよ!」

 なんで、こんなところで青春ドラマが始まっちゃってるの?

「私、もうあなたとは付き合えないのよ…!」

「だから、どうしてだよ?俺たち、ずっと上手くいってたじゃないか…。俺に何か不満があるのか?」

「達也…。あなたは、何も悪くないのよ…。全部、私が…。私は…達也にふさわしくないのよ…!!」

「ひとみ、何言ってんだよ!俺とひとみは、ずっと愛し合ってきたじゃないか。お互いの両親だって俺たちのこと認めてくれたし、来年の春までには入籍しようって約束したじゃないか!?」

 あれ?あなたたち、まだ結婚できる年齢じゃないんじゃない? 

「ごめんなさい、達也…。私、お腹に子どもがいるの…!!」

 ええええー!?

「なん…だと…?嘘だ…!だって、俺たちまだ…。」

「…あなたの子どもじゃないのよ。」

「まさか…!あの男の子どもなのか…!?」

「…そうよ。あの人が…無理やり私を…!!」


「「ちょっと、二人とも!!いったいどういうことなのー!?」」

 思わず叫ぶ、私と賀東先生!!

 二人が、我に返ったように私たちの方を向く。

「賀東先生、琳華会長、誤解です…!これは、全部演技ですよ!俺達、演劇部です。」

「私達、二人で演技の練習してたんです。」

「あら!そうなの…。だって、迫真の演技だったから、びっくりしたわよ…。ねえ、賀東先生。」

「はい。中学生が結婚のあたりから、おかしいと思いましたけど…。二人とも脚本が過激すぎませんか?もう少し学生らしい話で練習した方がいいんじゃないですか?」

「俺達も、そう思います…。でも、これ部長が書いた脚本なんですよー。」

「部長、昼メロみたいな脚本ばっかり書くんです…。部室で練習してたんですが、雰囲気を出そうと思って外へ来たんですが…。お騒がせしてすみません…。」

 二人が去って行った。


「琳華さん、演劇部の部長って誰でしたっけ?」

「たしか、高等部2年3組の桜田(さくらだ)來夢(らいむ)さんです。」

「桜田さんか…。あの脚本は、いろいろ問題があるから一度、注意した方がいいですね。今日は、学校に来てますか?」

「はい。演劇部は秋の学生演劇の発表会に向けて夏休み中は、ほとんど毎日練習のために来てますよ。多分、部室にいると思います。」

「用務員の仕事が終わったら、部室に会いに行ってみますね。」

「先生、私もついていってもいいですか?桜田さんには、部費のことで話があるので…。」

「いいですよ。じゃあ、早く仕事を終わらせちゃいましょう。」

「はい!」




  



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