表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカイ防衛少女毒リンゴ  作者: 苺鈴
136/139

セカイと姫果2

「城太郎。私は、セカイと二人だけでお話ししたいことがあるの。悪いけど、席を外してもらってもいいかしら?」

「ワイがいちゃまずい話なんか?」

「ええ、そうよ!早く、出てって頂戴!!」

 姫果ちゃんは、思いつめたような顔をしている…。

「城太郎君、僕からもお願いするよ。姫果ちゃんと二人きりで話したいんだ。」

「…セカイがそう言うなら。姫果、セカイのこといじめんなよ!!」

「いじめないわよ!」

「15分したら、戻ってくるから。それまでに、話終われよ!」

「戻って来なくていいわよ!」

「ごめんね、城太郎君。」

「セカイが謝ることやないやろ。じゃあな。」

 城太郎君が病室から出て行った。


「姫果ちゃん。僕に話って何?」

「セカイ…。私のお父様、明日、別の病院に転院することになったの…。今度は東京の病院なの。だから、この病院に来れるのは今日が最後なの…。」

「そうなんだ…。さみしくなるね。」

「セカイ…。私、セカイのことが好きよ!」

「僕も姫果ちゃんのことが好きだよ。」

「私の好きは、友達としての好きじゃなくて…!」

 姫果ちゃんの顔が赤くなる…。姫果ちゃん、もしかして僕のことを…!

「セカイ、私と結婚を前提にお付き合いしてください…!!」

 け、結婚…!?姫果ちゃんの緑色の瞳が、僕を真っ直ぐに見つめる。

「姫果ちゃん、ありがとう。こんな僕のことを好きになってくれて…。すごく嬉しんだけど…。」

「だけど…?」

「僕には、ずっと好きな人がいるんだ。だから…姫果ちゃんと付き合うことはできないよ…。本当にごめんね…。」

 姫果ちゃんの表情が暗くなる…。

「…それじゃあ私、今日のところは引き下がるけど。私、諦めないからね…。」

「姫果ちゃん…。」

「次にセカイに会う時はその子よりも素敵な女の子になって…絶対、セカイに私のことを好きになってもらうからね!!」

 姫果ちゃんは、元の明るいはつらつとした顔に戻り、僕に微笑んだ。

「うん。でも、僕はあの子のことが大好きだから…。」

「いいえ、絶対、私がセカイを振り向かせて見せるわ!だから、セカイ。それまでに元気になってね!」

「うん!」

「セカイの好きな子ってどんな子なの?」

「とっても、可愛い子だよ…。リンゴちゃんは、僕の初恋なんだ…!」


「リンゴ…?」

「うん。その女の子の名前はリンゴ!」

 セカイの好きな子は…リンゴ。私の…大嫌いな、私から…大切なものを奪った…リンゴ!

「姫果ちゃん?…どうかしたの?顔色が悪いけど…。」

「…大丈夫よ。セカイ、また会う日まで…ごきげんよう。」

「姫果ちゃん。今までありがとう。またね!」

 私は、セカイの病室から出ると、急いで走り出した…!


 廊下の途中で、誰かにぶつかりそうになる…!

「おい、姫果。廊下走ったら危ないやろ!!セカイとは話終わったんか?」

 城太郎…。

「姫果?…なんで、お前、また泣いとるん?セカイと何かあったんか?」

「…何でもないわ。ごきげんよう、城太郎。」

 私は、城太郎と別れてまた走り出す…!


 リンゴなんて、大嫌いよ…!!

 私から、お父様だけでなく…今度は、セカイまで…!!

 私の…初恋まで、奪おうとするの…!?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ