表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セカイ防衛少女毒リンゴ  作者: 苺鈴
133/139

病院にて

―胡桃総合病院、セカイの部屋―

「…そういうわけで、リンゴちゃんが僕の初恋なんだ。」

 セカイの初恋の相手がリンゴ…。

「ねぇ、城太郎君の初恋は?…城太郎君?」

「セカイ…ワイが絶対、お前を治してやるからな!!」

「うん…ありがとう?…それで、城太郎君は?」

「せやから、お前が元気になったら教えたる!…お子様のセカイには、ワイの初恋は刺激が強すぎる!」

「僕を子ども扱いしないでよ!城太郎君と同い年だよ!!…僕だけ話して、城太郎君が話さないなんて不公平だよ!」

 言えるわけないやろ…。ワイが好きなんは…お前と同じリンゴやって!!

「…ワイそろそろ帰るわ。」

「逃げる気だね…ずるいぞ、城太郎!」

「だから、セカイが元気になったら…いつでも教えたるよ!」

「…わかったよ。城太郎君、今日も来てくれてありがとう…。」

「じゃあ、また明日な!」

「うん、また明日!」


 セカイの部屋を出たワイは、なんや、もやもやした思いを抱えながら速足で廊下を歩く…。セカイの好きな子がリンゴやなんて…。世界は、狭いな…。

 ワイが角を曲がろうとした時、反対側から歩いてきた人にぶつかった…!?

「きゃあ!…ちょっと、あなた!どこを見て歩いていたの?」

 ぶつかったのは、女の子や…。

「ああ、悪かった…。ちょっと、考え事しとったんや…。すまん…。」

 ぶつかった女の子は、ピンクっぽい金髪の長い髪をサイドに三つ編みにした髪型で、緑色の瞳をした…お人形みたいにえらい可愛い顔した子で…。上品な、フリルやリボンが付いた半そでのピンク色のワンピースを着ていて…。

「気を付けてください!ああ…せっかくのお花が台無しよ…!」

 女の子は花束を抱えていたらしく、ワイとぶつかって花束が潰れてしもうた…。

「ほんま、すまんかった!」

「私の大切な方のためにお花だったのに…。」

 女の子の緑色の瞳に暗い影が帯びる…。


「城太郎君ー。ああ、良かった。まだ、いたんだね!」

 セカイがやって来た!?

「どうしたんや?」

「城太郎君、カバン忘れてるよ!」

「おお!すまん、わざわざ届けに来てくれたんか?」

 リンゴの件で頭が混乱してたからな…。

「それより…。何かあったの?」

「ああ、ワイがその女の子にぶつかって、その子の花束が潰れてもうたんや…。」

「もう、いいです!…次からは、気を付けてください…!」

 女の子は、悲しそうな瞳のまま立ち去ろうとした。

「待ってください。良かったら、僕の部屋にあるお花をあげましょうか?」

「え?」

「セカイ、ええんか?」

「うん。今日の午前中に僕のお父さんが、お見舞いに来てくれた時に持ってきてくれたものだからまだ、新しいから…。それで良ければどうぞ!」

「でも、それでは、あなたのお部屋のお花がなくなってしまうわ。それに、あなたのお父様から頂いたものでしょう?」

「僕は、お花に興味はないですし。お父さんも誰かのためになるなら喜ぶと思います。」

「それなら…お言葉に甘えさせていただくわ…。」

「じゃあ、今持ってきますね!」

「セカイ、恩に着るわ!」

「あの…あなた、お名前は?」

「僕は、烏丸セカイです。この子は僕の友達の胡桃城太郎君。あなたは?」

「私は、白雪(しらゆき)姫果(ひめか)よ。ありがとうセカイ。」

「いいえ。お役に立てて良かったです。」

「白雪姫果…。続けて読むと…白雪姫か!」

「ちょっと、城太郎!私の名前で遊ばないでくださる!元を正せば、あなたが前を見てなかったから…私の花束が!」

「だから、それはもう謝ったやろ?…全く、しつこい女やな!!」

「…何ですって?」

「二人とも、喧嘩しないでよ…。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ