リンゴの風邪1
6月某日。中間テストが終わって、今週末に千恵莉ちゃんと遊ぶ約束をした私、リンゴはただ今、大変な問題を抱えていたのです!
今日は、木曜日。明日は、約束の金曜日…。でも私は、昨日の夜から熱が出て…。今日は、学校を休んで寮の自室のベットで…熱にうなされ中…。
「リンゴちゃん、熱はどう?お昼は、おかゆなら食べられるかしら…。」
公子さんが、おかゆを持ってきてくれた…。熱でなんか…気持ち悪くて…食欲ないな…。
ピピピ…。体温計の音が鳴る。
「38.8度…。うわあ…。また上がっちゃった…。」
明日は、千恵莉ちゃんに会う日なのに…!
「やっぱり、病院で診てもらった方がいいみたいね…。」
「…大丈夫ですよ。市販の薬で治りますよ…。」
「だめよ。インフルエンザとかだったら、大変よ。病院に行きましょう!」
「でも…公子さん。洗濯とか…夕食の仕込みとか…忙しいんじゃないですか…?」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ?夕食は、何か簡単なものにすればいいわ!今、支度してくるわ。リンゴちゃんも、着替えて待ってて。」
私は、なんとかベットから起き上がり、着替えをする…。ううう…つらい…。ああ、明日は千恵莉ちゃんに会うの無理かな…?
「リンゴちゃん、着替え終わった?」
「はい…。」
私は、公子さんに体を支えてもらいながら、寮を出て、駐車場に向かう…。あれ?あそこにいるのは…。
「リンゴさん、具合どうですか?」
賀東先生!?…どうしてここに!?あああ、どうしよう寝癖が…!
「リンゴちゃん、賀東先生が私に変わって、病院まで連れてってくれるって!」
「え…?えええええー!?…で、でも賀東先生、授業は?」
「今日は、午後の授業がないので。大丈夫ですよ。」
―車内―
これは…。ドライブデート…!?いや…ただ賀東先生が、風邪ひいた私を病院に連れて行くだけだから!デートじゃないから…!!ああ…でも、運転する賀東先生の横顔が美しい…!!
「リンゴさん、熱は何度くらいですか?」
「えーと、さっき測ったら…38.8度で…。」
「そんなに高いんですか…!それだけ熱があれば、苦しいでしょう…。」
「…昨日の夜は、37度くらいで…微熱ぐらいだったんです…。そしたら、朝になったら…だるくて起きられなくて…熱を測ったら38度超えてて…。」
「朝の時にそれだけ熱があれば、早く公子さんに言って病院に行くべきですよ!…だめですよ、無理をしては…熱でずっとつらかったでしょう…。」
「…はい。でも、寝てれば治ると思ったので…。それに…。」
明日は、千恵莉ちゃんに会う日なんだよ…。風邪なんかひいてる場合じゃないよ…!
「…どうしたんですか?」
「…明日は、前の学校の友達に会う約束をしていて…私すっごく楽しみにしていて。私、小さい頃から遠足とか楽しみなことがある前日に体調崩すんです…。何でかわからないんですが…。」
「…僕は、小さい頃、遠足の前の晩に楽しみで寝られなくて、夜更かしして、寝坊して、あやうくバスに乗り遅れそうになったことがありますよ。」
「あははは。小さい頃の賀東先生、可愛いですね…!そうですね…私の風邪も…友達と会えるのが嬉しくて中間テストの勉強遅くまでやってたんです…。それで湯冷めして風邪ひいて…テストが終わったら熱が出て…。あああ…自分が情けない…。」
「あれ、でもリンゴさん、数学は前日に諦めてませんでしたっけ?」
「あははは…そうでしたね!でも賀東先生に教えてもらって、寮に戻ってからまた遅くまで勉強したんです…。」
「それで、風邪を引いたんですね…。」
「でも、賀東先生のおかげで、数学で初めて90点以上とれました!物理もテスト返しが楽しみです!本当にありがとうございます。」
「どういたしまして。」
「明日までに熱下がりますかね…?」
「さあ…。でも、病院でお医者さんにきちんと診てもらって、安静にしてればきっと、よくなりますよ!」
「だと、いいんですが…。それにしても、星屑学園って本当に外れにあるんですね…!」
学園を出て、かなりの距離走って来たけど…やっと町に出た感じだよ…。
「そうですね。病院まで、まだ結構距離がありますね…。」
「じゃあ、先生。何か面白い話してください!」
「ええ!?そんな…突然言われても…。」
「…先生の初恋っていつですか?」
「な…!?」
「だって、先生。それだけかっこよければ…恋愛経験豊富じゃないんですか?」
あれ?…賀東先生、顔真っ赤だよ!?
「…先生?」
「それじゃあ…リンゴさんの初恋を話してくれたら、話しますよ?」
「な!?…そうきましたか。…いいですよ!私の初恋をお話しします。でも、そのかわり賀東先生も教えてくださいね!」
「わかりました…。リンゴさんの初恋はいつだったんですか?」
「幼稚園の時なんですけど…。」
私は賀東先生に、セカイ君のことを話した。そして、私が話終わるころに病院についてしまった!
「賀東先生、私は、ちゃんと話したんですから。帰りの時、賀東先生の初恋、教えてくださいよ!」
「…わかりました。さあ、早く行きましょう!」
「本当に教えてくださいよ!」




