青島琳華のセカイ4
私は、もっと強くなりたい…。琳吾を死なせてしまったのは…私が弱いから…。私が弱いせいで…また、誰かを失うなんて…絶対にいや…!私は、守られる存在じゃなくて…誰かを守れる存在になりたい…!
だから、私はこの学園の生徒会長になったの…。まずは…この学園の生徒みんなを守れるくらい強くなりたい…!
土曜日の午後の剣道場。剣道部の練習が終わり、静まり返ったこの場所で…私、青島琳華は、白と紺の剣道着に着替え竹刀で素振りをする。準備運動でへばっているようじゃ、みんなを守れないもの。毎回少しずつ、素振りの時間を長くして体力をつけるのが狙い…!ちょっとだけど…以前よりは体力がついた気がする…。
はあ…。でも、そろそろ…。息が上がってきちゃった…。ううん!あともうちょっと…!あと10回くらいなら大丈夫…多分。
剣道場に誰か来たみたい…!
「あれ、琳華さん。どうしてこんなところに…。具合はもう大丈夫なんですか?」
「賀東先生!?ごきげんよう…。昨日はご迷惑をおかけし…」
言いかけたところで、私は突然立ちくらみを起こしてしまった…!
床に倒れかけた私を賀東先生が、抱き止めてくれた…。情けない…また誰かに助けられてしまった…。
「琳華さん、大丈夫ですか?」
「何度もすみません…。ありがとうございます。」
「いいえ。それより、琳華さんは剣道部にも入っていたんですか?」
「いえ。私、少しでも体力をつけようと思って、土曜日の午後は、ここで素振りをしてるんです。賀東先生こそ、どうしてここへ?」
賀東先生も私と同じ剣道着姿で竹刀を持っていた。
「僕も、たまにここで素振りをしてるんです。体を動かしたくなった時とか、絵を描いていて行き詰った時の息抜きに…。」
「そうだったんですか。先生、剣道経験はあるんですか?」
「はい。大学時代に剣道のサークルに入っていました。剣道ってかっこいいですよね!なんだか、竹刀を持つと侍になったみたいで…!」
賀東先生って、日本かぶれなのかしら…。
「あはは。私も兄が剣道をしていて…。」
そう、琳吾は、剣道がとっても強くて、まだ小学生だったけど中学生とも対等に戦えていた…。
「琳華さん、お兄さんがいらしたんですか?」
「はい。私と双子なんですが…私が10歳の時に…事故で亡くなってしまって…。」
「…すみません。」
「いいんですよ…。私の兄、剣道強かったんですよ!」
剣道場にまた、誰かが入って来た。
入って来たのは女の子で、学園の中等部の制服と同じようなデザインだけど、色が違って白地に黒のラインが入っていて、リボンが黒で、黒のタイツに銀色の靴…道場に土足で入ってくるなんて…!?髪はパーマがかかった黒髪で肩までのばしている。頭に白いリボンをつけていて、顔はまるでお人形みたいに整っていて肌に血の気がないのに、真っ赤な瞳と唇をしている。見たことない子…。私は、生徒会長だから学園の生徒の顔と名前はほとんど暗記してるんだけどな…。
「君、ここは、土足厳禁ですよ。」
賀東先生が女の子に話しかける。
「あら、王子様。…今日は、あなたに御用はないの!」
女の子が手の平を賀東先生の方へ押し出すと、賀東先生が突然、気を失って倒れてしまった!
「賀東先生!?あなた、賀東先生にいったい何をしたの…?」
「探したわよ…。まさか、あなたが藍色の覚醒者だったなんてね…。高等部2年、生徒会長の青島琳華先輩。」
「あなた、何を言っているの…?あなたは、いったい何者なの…?」
「私の名前は、ヴァニラ。さるお方のために『セカイ』を滅ぼす者よ…。」




