リンゴと有寿
私の目の前に、怪物はいなくなっていて…。私の腕の中にいるのは、私の新しい友達の有寿ちゃん…。
「有寿ちゃん…。私たちの『セカイ』へ一緒に帰ろう…!」
気を失っている有寿ちゃんを抱きかかえ、図書室の扉に手をかける私。…あれ?開かない!
ああー!!本の文字がまだ、鏡文字になってるー!!まだ『鏡の国』にいるみたい…。どうしよう…!?
その時!図書室の扉が縦一文字に斬れた…!?そして、本を見ると文字が鏡文字じゃなくなってる。元の『セカイ』に戻ったんだ!扉の向こうから現れたのは…。
「あなたは…!藍色の覚醒者さん…!?」
「…二人とも、怪我はないか?」
「は、はい!…助けてくれて、ありがとうございます!ああ、そういえばクリム君の時、邪魔しちゃってすみませんでした…!」
「…気にするな。」
藍色の覚醒者さんが立ち去ろうとする。
「あ!待ってください。あなたは、いったい誰なんですか?」
「…『セカイを滅ぼす者』を滅ぼす者。すまないが…俺は、それしかわからないんだ…。」
藍色の覚醒者さんは、消えてしまった…!
「…あれ?ここは、どこ…?」
有寿ちゃんが目を覚ました!
「有寿ちゃん…!ここは、図書室だよ。」
「…あの?あなたは、誰ですか?」
え…?ああ!変身がまだ解けてないんだ!
「…声は、リンゴちゃんみたいだけど…?」
「違うよ!私は…えーと…アリスです!」
「あなたが、夢の中で私を助けてくれたんですか…?あんまり、よく覚えてないんですが…ありがとうございます、アリスさん。私と同じ名前ですね…。」
「どういたしまして!では、私はこれで…!」
急いで、図書室を出る私!すると、元の姿に戻った…。戦闘があった場所から出ると変身が解けるのかな?
そして、次の日の放課後の図書室。
「ももちゃん、リンゴちゃん。まだ、途中なんだけど…。私が書いた童話、読んでもらってもいい?」
「読んでいいの?やったー!!じゃあ、あたしが先に読むね!」
「えー!?なんで、ももが先なの?私が、有寿ちゃんの読者第1号になりたい!!」
「有寿ちゃんは、『ももちゃん、リンゴちゃん』って言ったから、私が先だよー!」
「そんなのずるいよ!」
「…二人とも、喧嘩しないで!」
「ああ、別に喧嘩してるわけじゃないから大丈夫だよ!って、もも…先に読んでるし!」
「えへへ。私が童話作家の澪門有寿先生の読者第1号だね!…何々、主人公の名前はアリスで…。」
「…ももちゃん、読み上げないで!…恥ずかしい。」
「いやいや、恥ずかしがることないよ。よく書けてるよ!おもしろい!」
「ももー!私にも早く、読ませて!」
「…有寿ちゃん。この主人公なんだかリンゴみたいだね?髪と目の色が違うけで、髪形とか、しゃべり方とかなんか似てる!」
えええ…!?
「実は、昨日、不思議な夢を見たの…。私は、童話の『セカイ』にいて…ずっとこの『セカイ』に逃げていたいと思ってたんだけど…。そこへアリスって名前の女の子が現れて…。わたしをこの『セカイ』につれ戻してくれたの…!そのアリスさんが、なんだかリンゴちゃんにそっくりだったの!」
「へ、へええ…。不思議な夢だねぇ…。ああー。もも、早く読ませて!!」
「…ももちゃん、リンゴちゃん。こんな私と友達になってくれて本当にありがとう…!」
「有寿ちゃん、私も同じ気持ちだよ!私、有寿ちゃんともっともっと仲良くなりたい!」
「私も!有寿ちゃんのこの大作に負けないすっごい挿絵を描いてあげる!!」




