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セカイ防衛少女毒リンゴ  作者: 苺鈴
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鏡の国の有寿

「何の光…!?まさか…アリスが本当の名前を思い出したの…!?そんな、馬鹿な…。」

 

 私から溢れ出した光が、ギロチン台を消滅させる!そして、不思議の国のアリスの『セカイ』全体を光が包んでいく!私の格好もいつものセーラー服の変身した姿に戻る。

「私の名前は…毒島リンゴ!そして、またの名を『セカイ防衛少女毒リンゴ』!!有寿ちゃんの『セカイ』もこの『セカイ』も私が絶対に守る!!」

 

 光が止むと、不思議の国のアリスの『セカイ』は、消えて元の図書室に戻った。有寿ちゃんは、床に気を失い倒れている。

「…毒島リンゴ。毒リンゴ…。それが…お前の名前なのね…。」

「さあ、ヴァニラ。今度は、あなたの番だよ!」

「…許さない。お前だけは、絶対に許さない…!」

「ヴァニラ?何言ってるの…?」

「…毒島リンゴ!!お前は、絶対に倒す…!」

 ヴァニラが、床に倒れている有寿ちゃんに向かって、光を放つ!

「ヴァニラ!?あんた、何やってんのよ…!」

「…さあ、有寿ちゃん!毒島リンゴを倒しなさい…!あなたの『セカイ』を守るために!!」

 ヴァニラの光を浴びた有寿ちゃんは、ある怪物に姿を変えた…!ドラゴンのような姿で、鋭い鉤爪と牙、炎のような赤い目、翼をはためかせ、ふらふらとした不気味な動きをするこの怪物は…!

「ジャバウォック!?何で、有寿ちゃんがジャバウォックに?ジャバウォックが出てくるのは、『鏡の国のアリス』でしょ?」

 そういえば、私が図書室の中を見渡すと、本の文字が左右反対で…鏡文字になっていて…。ここは『鏡の国』なんだ!まだ、元の『セカイ』に戻ってないんだ…!さっき、ヴァニラが有寿ちゃんに光を放って、私の『毒リンゴの毒』で、相殺されたはずの有寿ちゃんの『チカラ』が戻っちゃったんだ!

「さあ、毒島リンゴ!その怪物を倒さない限り、もとの『セカイ』には戻れないわよ?お前が、本当にその子のことを友達だと思っているなら傷つけられないわよね…?」

 ヴァニラは、姿を消してしまった!


「そんな…。どうしよう…!?」

 ジャバウォックになった、有寿ちゃんが私に向かって来る!

「有寿ちゃん、私の声を聞いて!元の有寿ちゃんに戻って…!」

 ジャバウォックは、何も答えない。そして鋭い鉤爪で私を引き裂こうと、腕を伸ばしてくる!さっき、あれだけの『毒リンゴの毒』を使ったから、もう出せないや…。なんとか、ギリギリでジャバウォックの攻撃をよける私!

「有寿ちゃん。私だよ、リンゴだよ。思い出して!」

 攻撃は、止まない!私の両肩をジャバウォックに捕まれ身動きが取れなくなってしまった!鉤爪が私の肩に食い込んで…痛い…!ジャバウォックの口が大きく開き、私の噛みつく気だ…!

 

 噛みつかれると思った瞬間…!ジャバウォックの動きが止まった…!?そして、ジャバウォックの目から涙が流れていた…。有寿ちゃんの意識が戻ったのかな?そして、有寿ちゃんの心の叫びが私に伝わってきた…。

『私は、あの子に裏切られて…本当の友達なんて存在しないことを知って…この『セカイ』に絶望して…。だから、誰も私を裏切ったり、傷つけたりしない童話の『セカイ』に逃げたの…。私はもう人と関わりたくないの…!お願い…私を1人にして…!』

「有寿ちゃん、それは…違うと思うよ。私もね…名前のせいでいじめられていたの。幼稚園の頃は1人だけいつも私のことを助けてくれた子がいたんだけど、その子とは小学校は別で…。小学校では、いつもいじめられてたの…辛くて、悲しくて…誰も、私のことを助けてくれなくて…。でもね、ある事がきっかけで、いじめられなくなったんだけど、今度は避けられるようになっちゃって…。私は、いつもひとりぼっちだったの…。それで、いつも昼休みは図書室に行ってたんだ。私も有寿ちゃんと同じで、物語の『セカイ』に逃げていたの…。物語の『セカイ』の友達は、私を絶対に裏切らないし、温かい言葉と行動で私を励ましてくれて…本って本当に良いものだよね!だけどね…私、この星屑学園に編入してきて、いろんな人に出会って、友達になって…ももは、私の初めて出来た友達なんだ。私、自分でも気づかないうちに人との間に壁を作ってたの。ももは、その壁を壊してくれたの…。私は、ももと友達になれて本当に良かったと思ってる…私はももが好きだよ。でもね…ももって口が軽し、図々しいし、自分のことは鈍感だし…ももの嫌な面も見えてきたの。だけどね…私は、もものことが大好きなの…!!何が言いたいのかというとね…。私とももは、有寿ちゃんともっと仲良くなりたいの!だけど、私とももは、物語のキャラクターみたいに完璧じゃないから、喧嘩をしたり、悪気はなくても有寿ちゃんを傷つけてしまうことがあるかもしれない…。それでも、私とももは、もし有寿ちゃんを傷つけてしまったら、その分、いやそれ以上に有寿ちゃんのことを癒してあげたいの!だって、有寿ちゃんは、私たちの大切な友達だから…!だから…有寿ちゃん、人と関わることを怖がらないで…。人を傷つけるのも人だけど、その傷を癒すことも、人にしかできないの!!」


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