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セカイ防衛少女毒リンゴ  作者: 苺鈴
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烏丸セカイと病室

 僕は不思議な夢を見た…。夢の中で僕は、あの子に…リンゴちゃんに出会った。リンゴちゃんは、自分の名前を忘れてしまっていて…。僕が教えてあげたんだ…。不思議な夢…。でも、いい夢だったな…。

 だって、リンゴちゃんに会えたんだから…!僕の初恋の女の子。少しクセのある艶やかな黒髪、子鹿みたいな愛らしい澄んだ黒い瞳の女の子…。


 僕は、アルビノ(先天性白皮症)というメラニン色素の遺伝情報の欠損によって、恐ろしいくらい白い肌と髪、毛細血管の透過による赤い瞳の姿で生まれてきた。この外見のせいで、幼稚園の頃は、みんなから薄気味悪がられてどこか避けられていた…。でも、リンゴちゃんだけは、僕を避けなかった…。


「セカイ君て、不思議の国のアリスに出てくる白ウサギさんみたいだね!私、白ウサギさんが一番好きなの。だって、アリスは白ウサギさんを追いかけて穴に落ちて、不思議の国に行くことができたでしょ?セカイ君て真っ白できらきらした髪で、ルビーみたいな赤い瞳…白ウサギさんは、桃色の瞳だけど…。セカイ君ってとっても綺麗だね!」

「…そんなことないよ。リンゴちゃんの方が綺麗だよ…!」

「えええ…!?そんなことないよ…。みんな、わたしのことブスって言うもん…。」

「リンゴちゃんは、ブスじゃないよ、可愛いよ…!」

「本当に…?」

「うん!僕は、リンゴちゃんのこと…好きだよ!」

「ふぇ…!?あ、ありがとう…。私もセカイ君のこと…大好きだよ!」


 幼稚園を卒園してから、一度も会えなかった…。僕は、僕のおじいちゃんが作った学校…星屑学園に入学することになっていたけど…学園はなぜか閉鎖されてしまって…。別の小学校に入学したけど…入学してすぐに体調を崩して…生まれた時から体が弱かったけど、幼稚園は普通に通えたのに、小学校にはほとんど行けなかった。それから、学園が再開されて、中等部に入学したけど…ずっと病院を入退院を繰り返して…。そして、今も…僕は病院のベットの上にいる…。


 そういえば、この間、何か月ぶりに…中等部2年になってから初めて、学園にテストを受けに行ったら僕は、やっぱり体調が悪くて、保健室で寝ていて…。でも、本当に久しぶりに学園に来たから、学園内を見てみたくて歩いていたら…発作を起こして、廊下に座り込んでしまって…。

 そこへ、あの子が…リンゴちゃんがやってきて。制服は、学園のものじゃなかったけど…。リンゴちゃんとまた巡り合えるなんて…嬉しい…!でも、リンゴちゃんは、僕のことを覚えていなかった…。仕方ないよね…卒園してから一度も会ってないんだから…。


 僕は、リンゴちゃんの『セカイ』になりたかった…。リンゴちゃんのお父さんとお母さんが亡くなって、リンゴちゃんがひとりぼっちになってしまったから…。リンゴちゃんのことが大好きだから…。僕がリンゴちゃんの家族になってあげたかった…。だけど、僕は…リンゴちゃんの『セカイ』になれない…。


 だって、僕は…。きっと…リンゴちゃんと結婚できる年齢になる前に…大人になる前に…死んでしまうから…。



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