不思議の国の有寿1
私、毒島リンゴは、澪門有寿ちゃんを見つけに図書室へ向かう。その時、私の腕時計が鳴った!
『剣崎です。毒島さん、図書室から高エネルギー反応を確認しました!』
「そんな…!じゃあ、ヴァニラは…有寿ちゃんなんですか…?」
『断言はできませんが、可能性は高いです…!』
図書室に入る私。何これ…!?
図書室の中は、海になっていた…!どういうことー!!だって、本棚も机もみんな消えてしまって…。というか、図書室の部屋自体が消えてしまって…。私は、海の中に首まで浸かって波に流されてて…。
周りを見渡すと、アヒルやらネズミやら、インコやらドードーやらいろいろな生き物も一緒に波に流されてて…。なんか、この光景をどこかで見たことがある気がする…。これって…。私は、私の前にいるネズミに話しかけてみた。
「ねえ、ネズミさん…私の猫はどこにいるかしら?」
すると、それを聞いたネズミが海の中から飛び出してきた!めちゃくちゃ怯えてる…。やっぱりそうだ…。この『セカイ』は『不思議の国のアリス』の『セカイ』なんだ…!これは、アリスが泣いてできた海…。この『セカイ』のアリスってまさか…。有寿ちゃん…!?
とにかく、変身しよう!
私の体の中から光が溢れ始めた!
光が止み、一人の少女が現れた…!
光輝く黄金の髪と瞳。アリスのような赤と白のエプロンドレス。頭には真っ赤なリボン。おお!今日はいつものセーラー服じゃなくて『不思議の国のアリス』がモチーフになってるんだね!
「私は不思議の国の『セカイ防衛少女毒リンゴ』!有寿ちゃんの『セカイ』も、この『セカイ』も壊させない!私が絶対に守る!!」
あれ?腕時計がない…!と思ったら、懐中時計になってる!すごーい!!
『毒島さん、そちらの状況を教えてください!』
「図書室が『不思議の国のアリス』の『セカイ』になっちゃってます!」
私が変身している間に、涙の海は消えて、私は森の中に立っていた。
『澪門有寿だから『不思議の国のアリス』か…。そのまんまだな…。』
『澪門さんは、どこにいるかわかりますか?』
「いえ。有寿ちゃんもヴァニラも見当たりません。」
あれ?誰かがこっちに来る…!
「なんだ、メアリ・アン、こんなところで何をしている!?私の手袋と扇子はどうしたんだ?」
やって来たのは、黒のタキシード姿で、桃色の可愛い目をした白ウサギさん…!?アリスに出てくるあの白ウサギさん!!わあああ…本物だ!小さい頃に絵本で見たまんまだ…!!
知らない間に、私の手の中に手袋と扇子が握られていた…!白ウサギさんは、私の手から手袋と扇子と、私の懐中時計まで、ひったくってしまった!?
「白ウサギさん!その懐中時計は、私のなんだけど!」
「ああ!大変だ、大変だ!遅刻してしまう!」
白ウサギさんは、そのまま森の奥へと走って行ってしまった…!
「待って!白ウサギさん!」
私も後を追いかける!けど、白ウサギさん走るの速すぎ…!あっという間に見失ってしまった…。
「どうしよう…。あれがないと先生達と連絡がとれない…。」
「お困りのようね。お嬢さん?」
木の上から、声がする!?私が近くの木を見上げるとそこいたのは、女の子で、学園の中等部の制服と同じようなデザインだけど、色が違って白地に黒のラインが入っていて、リボンが黒で、黒のタイツに銀色の靴。髪はパーマがかかった黒髪で肩までのばしている。顔はまるでお人形みたいに整っていて肌に血の気がないのに、真っ赤な瞳と唇をしている。
「あなたは、ヴァニラ!」
ヴァニラは頭に黒い猫耳とおしりにしっぽをつけていて、両頬には髭が3本ついていた…。チェシャネコのつもりなのかな?てか、チェシャネコ出てくるの早すぎない?
「ヴァニラ…あなたは、有寿ちゃんなの…?」
「私の名前はヴァニラだけど、今はチェシャネコよ。それに、アリスはあなたでしょ?」
「ああ、この格好は私の想像したことが変身に影響しただけだから…私はアリスじゃないよ。私の名前は…。あれ?なんだっけ…!?」
「自分の名前が思い出せないの?変なの!ねえ、アリス。自分の本当の名前が思い出せないとこの『セカイ』から出ることはできないよ…。あなたの『チカラ』も使えないのよ!」
「うそー!?じゃあ、私どうすればいいの…?」
「あなたの本当の名前を思い出せばいいだけよ。思い出せればだけど…!」
木の上にいたヴァニラは突然、消えてしまった…!
「私の名前…。どうして思い出せないんだろう…?」
そうだ!あの白ウサギさんを見つけて、懐中時計を取り返して先生達に私の名前を聞けばいいんだよ!私は、白ウサギさんを探しに森の奥へと進んで行く!




