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セカイ防衛少女毒リンゴ  作者: 苺鈴
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澪門有寿のセカイ2

 図書室を出た私、澪門有寿の足取りは、軽やかで…。まるで体が綿になったみたいに軽くて、気持ちがふわふわしていて…胸の奥があったかくて…。この学園に入学してから、ううん、生まれて初めてかもしれない…こんな不思議な気持ち…!初めて…友達になれたのかな…。

 図書委員になって、藤林さん…ももちゃんがこんな私に話しかけてくれて…私を下の名前で呼んでくれて…なんだか嬉しいのにくすぐったくて…恥ずかしくて…。この子と友達になりたいと思ったけど…。私みたいな根暗な子と一緒に居たら…ももちゃんまで変な目で見られちゃうかもしれないし…。だから…自分でも気づかないうちに…ももちゃんのこと避けちゃって…。それでも、ももちゃんは、いつも笑顔でこんな私に話しかけてくれて…今日はリンゴちゃんも…私に話しかけてくれて…!一日で二人の子と下の名前で呼び合えるなんて、なんて…素敵なんだろう…!

 ももちゃんが私の童話に挿絵を描いてくれる…!どうしよう…嬉しすぎて泣きそう…。早く完成させて、ももちゃんとリンゴちゃんに読ませてあげたい…!こんな私に生まれて初めて、できた友達だから…!




―女子寮、リンゴの部屋―

 私はベットの上に寝そべって、あの子のこと…。セカイ君のことを思い出していた…。どこかで、会ったことがあるような気がするんだけど…。うーん、思い出せない…。なんだか、眠くなってきた…Z。

 

 私は夢の中に落ちて行った…。

 また、身体が軽くなったみたい…また小さいころに戻ったみたい…。あれ?私、また泣いてる…。また男の子にいじめられてるのかな…?いや、違うみたい…。私は黒い服を着ていて…。

 ああ、この日は…父さんと母さんの…お葬式だ…。思い出したくない…!あの日、私は式の途中で会場を抜け出して…。誰かと…話している?誰だろう…?

「リンゴの父さん母さん、死んじゃったの…。もう、会えないの…。リンゴの『セカイ』壊れちゃったの…!リンゴはもうひとりぼっちだよ…。なのに、どうしてみんなの『セカイ』は、壊れないの!?そんなのおかしいよ…!こんな…こんな『セカイ』なんて、滅んじゃえばいいんだ…!!」

「泣かないで…リンゴちゃん。リンゴちゃんの『セカイ』が壊れちゃったんなら、新しい『セカイ』を作ればいいんだよ!僕も一緒に、リンゴちゃんの『セカイ』を作ってあげる。僕の名前『セカイ』って言うでしょ?これね、僕のお父さんが誰かの大切な存在『セカイ』になれるようにって『セカイ』って名前をつけてくれたんだって。だから、僕がリンゴちゃんの『セカイ』になってあげる!」

 

 そうだ…。あの子の名前は…『セカイ』。それじゃあ…烏丸セカイ君が、いつも私を助けてくれた…優しくて、かっこよくて、何でも知っていて…。私の…初めての、初恋の男の子…!




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