千恵莉と城太郎とテスト勉強
都内某図書館の学習室。
「千恵莉、お前、天才や…!勉強教えるの上手すぎや、先生よりわかりやすいやん!!」
「えへへ…。ありがとう。」
私、福田千恵莉は、なぜか胡桃城太郎君のテスト勉強を手伝うことになりました…。
「お前が、先生ならワイ、全教科満点とれるで!」
「それは、大げさだよ…!でもね…私、将来学校の先生になるのが夢なの…。」
「お前の天職やん!お前なら、絶対なれるで。ワイが保証する!ということは、ワイが千恵莉先生の教え子第1号やな!」
わあああ…。城太郎君…笑顔でそのセリフは反則でしょ…!!
「でも、どうして急に勉強なんか始めたの?城太郎君、最近真面目に授業にも出てるし…。なにか心境の変化があったの…?」
「…ワイにも夢ができたんや。」
「城太郎君の夢って何?」
「夢というか…やるべきことや…。ワイは、実家の病院を継がなきゃあかんのや!!」
「えええー!?でも、実家はお姉さんが継ぐって前、言ってなかったけ…?」
「姉貴は、実家を継がんって両親と今もめとるんや…。学生ボランティアで、いろんな国へ医療支援の手伝いに行ったらしいんやけど、そこでの衛生環境は劣悪で、医療設備も整ってなくて…日本ではすぐ治せる病気でたくさん人が亡くなっているらしいんや…。姉貴は、実家の病院継がずに、世界の貧しい国や戦争や紛争に苦しんでいる国の人々を治療する医者になりたいんやって…。姉貴の夢は、ワイの夢でもある…!だから、ワイは絶対に、医者になって姉貴にかわって実家を継がなきゃあかんのや!!」
「そうだったんだ…。だったら、私も城太郎君の夢を全力で応援するよ!勉強教えるくらいしかできないけど…。」
「千恵莉…。ワイ、お前と友達になれて本当に良かった…!ワイ、千恵莉のこと大好きや!!」
ボンっ!!(私の頭が爆発する音)
「ななななな!?何言ってんのー!?」
「べ、別に変な意味で言ったんじゃあらへん!!友達として、好きって意味や!何勘違いしとねん…!それに、ワイは…。ワイは…リンゴのことが好きや…!」
え…?城太郎君の一言で、私の心の奥が急に冷たくなってしまった…。城太郎君がリンゴちゃんのことを好き…。そんなの、初めから知っていたのに…。どうして…。どうして…こんなに…。
「千恵莉?お前、何で、泣いてるんや…?」
「ごめん…何でもないよ…。城太郎君、私、そろそろ家帰んなきゃ…。それじゃ、また明日…。」




