case of Plasma part2
翌日、高校生活二日目。
TVを見ながら僕はコーヒーを飲む。
かなり甘いコーヒーでカフェオレといったほうがしっくりくるかもしれないが、どうでもいい。
因みに僕の家庭は受信料を払っている家庭である。
これまた非常にどうでもいい話。
何故こんな話をしてしまったんだろうか?
ああ。興奮しているのだ。
昨日、一般男性が何者かに襲われ、親指を奪われたというニュースがやっている。
しかも、この市内。
やはりこの市内に犯人はいる。
僕のターゲットは決まりつつあったが、死刑になる程の罪じゃない。
まぁ親指がなくなっただけ。
生活に支障はでるだろう。
「親指がなくなったらテレビのチャンネルを変えるのが大変そうね。」
母がブラックコーヒーを飲みながら言った。
「別に残ったほうの親指で変えればいいんじゃないのかな?」
僕の返事はこうだった。
「確かにそうね。」
と納得した感じの返答だった。
はぁ。
ブラックな僕が出てきた。
生に意味を求め、死の価値を知る。
儚い。という美しさに魅力された。
まさしく日本人。
日本が一瞬。欧米が永遠。
意味がわからない。そんなことを思う方もいらっしゃるだろうが僕は敢えてここでは話さないでおこう。
そんなものなんてこの話には求めてないだろう?
さて、親指を切られた男性は生きていたわけだが、、、
なんで殺さないのだろうか?
親指に過度の興味があるのか?
前の犯行で犯人は男しかあり得ないと思っていたが
男女どちらとも言えなくなってしまった。
つーか、親指を切り取ってどうするんだ?
「こんな話が載っている小説あったわよね?」
母がTVを見ながら言う。
それは僕が好きな本だった。
その話では手首からだったけれど。
「あら、もうこんな時間、早く学校行きなさい!」
「はいはい。」
自転車で学校まで行く。
このルーティングを三年繰り返すとなると本当に辛く、思いやられるけれど馴れるだろう。
20分程で着き、自分の席に着く。
帰宅途中で少しあの事件について調べてみるか。
できるだけ犯人に悟られないように
………………………………………
昨日をゆっくり、じっくり思い出す。
公園の木の影に身を潜め一人で歩いてくる人間を待つ
歩いてきた人間を後ろから襲い、気を失わせてから親指を切り落とした。
今回はさすがにその人間を助けるなんてことはしなかった。
なかなか良い肌触り
だが見た目が悪い。
短い
まぁ、あまり贅沢は言えないのかな
しかし、、、二個目を獲得したものの、、、全然、、、
満たされない。
しかし、何の用途もない
愛でることもない
なのに完璧な指が欲しい
彼女の指、、、
しかないのか?
俺は、、、
いやダメだ!
ダメだ!
ダメだ!
用途がないのに
、、、
まぁいい。
彼女には傷付いて欲しくない
愛しているから
うん、、、学校に行こう
マキの家に向かう
「おはようございます」
「おはよう。タカくん」
仕事に向かうマキの父親と挨拶を交わし
マキが出てくるのを待った。
「ごめん!遅くなっちゃった」
「いいよいいよ、、、何時ものことだし」
「そうだね」
「いや、そうだね。じゃなくてさ、、、」
反省の色を見せて欲しい。
「まぁ、、、お弁当作ってあげたんだから許して」
「マジ!?」
「頑張ったんだからね!」
「嬉しいなぁ」
「うん。お昼に一緒に食べよう。」
午前は軽いレクリエーションがあり午後からはテストだった。
国語のテストが終わり、休み時間
「タカヤ、テストどうだった?」
と中学からの友人が話し掛けてきた
「上々かな」
「マジかよ~」
不意に俺の前の席、、、名前なんだっけ?
ヨシカワだっけ?あれ?違う
「ヨセイダくん何見てんの?」
俺の視線を辿ったらしい友人が彼に声をかけた
あぁそうだヨセイダだ。
寄井田。
「うん、ニュースをね」
初めて声を聞いた。
「マジかよ~大分余裕あるなぁ」
俺は2人の会話を聞きながら
ヨセイダの携帯を操る指を見て
高揚していた。